- 2025年3月2日
ストレスと膝の痛みは関係ある?意外な関連性と改善のポイント
膝の痛みに悩まされていませんか?実は、ストレスが関係していることがあります。現代社会において、ストレスは誰しもが抱える身近な問題です。ストレスは心だけでなく、体にもさまざまな影響を及ぼします。一部の研究では、ストレスと膝の痛みに密接な関係があることが明らかになってきています。本記事では、以下のポイントを解説します。
- ストレスと膝の痛みの意外な関係
- ストレスによる膝の痛みを和らげる方法
- 膝の痛みを悪化させないための対策
出来ることから実践し、慢性的な膝の痛みから解放されて快適な日常生活を目指しましょう。
ストレスと膝の痛みの意外な関係3選
ストレスと膝の痛みの関係性については、以下のとおりです。
- ストレスで筋肉が緊張して痛みが悪化する
- ストレスによる生活習慣の乱れで膝に負担がかかる
- 痛みの悪循環でストレスと痛みが慢性化する
ストレスで筋肉が緊張して痛みが悪化する
ストレスを感じると、体の機能をコントロールする自律神経が、ストレスに反応して筋肉を緊張状態にさせます。肩こりや首こりのように、膝周りの筋肉もストレスによって緊張し、硬くなってしまいます。
筋肉が硬くなると、血管が圧迫され血行が悪くなり、膝関節への酸素や栄養の供給が滞ります。筋肉が硬い状態が続くと、関節の動きが悪くなり、スムーズに動かなくなることで摩擦が生じ、炎症や痛みが出やすくなる場合があります。ストレスによる自律神経の乱れから筋肉が緊張し、血行不良に陥り、最終的に膝の痛みへとつながります。
ストレスによる生活習慣の乱れで膝に負担がかかる
ストレスを感じていると、生活習慣が乱れがちになります。夜更かしや不健康な食生活、運動不足も膝の痛みにつながる可能性があります。ストレスによって生活習慣が乱れると、膝への負担が増加し、痛みを悪化させることがあるのです。
- 睡眠不足
私たちが寝ている間に、体は傷ついた細胞を修復し、疲労を回復させます。睡眠不足になると、修復作業が滞り、筋肉の疲労が蓄積されてしまいます。膝周りの筋肉が硬くなり、痛みを感じやすくなる可能性があります。 - 不健康な食生活
糖分や脂肪分の多い食事は、体内の炎症反応に影響を与える可能性があり、膝の痛みに関連することが示唆されています。バランスの取れた食事を心がけることは、健康な膝を維持するためにも重要です。ファーストフードばかり食べていると、栄養が偏り、体のさまざまな機能が低下するように、膝の軟骨や筋肉にとっても、バランスの良い栄養摂取は不可欠です。 - 運動不足
運動不足になると筋肉は衰え、膝関節を支える力が弱くなってしまいます。適度な運動は膝周りの筋肉を鍛え、関節を安定させるために重要です。膝関節を支える筋肉が弱くなると、関節が不安定になり痛みが出やすくなってしまいます。
痛みの悪循環でストレスと痛みが慢性化する
膝が痛いと歩くのがつらくなり、好きなことができずにストレスを感じてしまいます。ストレスが増えると、筋肉の緊張や生活習慣の乱れが生じ、膝の痛みを悪化させる可能性があります。ストレスと膝の痛みは悪循環に陥りやすく、慢性化する可能性があります。
ストレスと膝の痛みの悪循環を断ち切るには、ストレスを軽減する工夫と、膝の痛みを和らげる対策が必要です。ストレスを和らげるには、リラックスできる時間を作ることや、趣味を楽しんだり、信頼できる人に相談したりすることもおすすめです。膝の痛みを和らげるには、温めることや冷やすことや、ストレッチ、サポーターを使用する方法があります。
ストレスによる膝の痛みを和らげる4つの方法
ストレスによって引き起こされる膝の痛みを和らげる方法は、以下のとおりです。
- リラックス効果を高める入浴法やアロマセラピー
- 適度な運動で血行促進とストレス軽減
- 睡眠の質を高めるための工夫
- 認知行動療法でストレスへの対処法を学ぶ
リラックス効果を高める入浴法やアロマセラピー
ストレスを感じると、交感神経が優位になり、筋肉が緊張しやすくなります。筋肉の緊張が、血流の低下や筋肉の柔軟性の低下につながり、膝の痛みが悪化する可能性があります。そこで、リラックス効果を高める入浴やアロマセラピーが緊張緩和に役立つ場合があります。
- 入浴法
38~40℃程度のぬるめのお湯に15~20分程度ゆっくりと浸かりましょう。熱いお湯は交感神経を刺激してしまうため、逆効果になる可能性があります。湯船の中で膝を軽く回し、曲げ伸ばしをすることも効果的です。関節の可動域を広げ、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。 - アロマセラピー
ラベンダーやカモミール、オレンジスイートなどの精油は、リラックス効果が期待できると言われています。アロマディフューザーやアロマポットで香りを拡散させる、ハンカチやティッシュに精油を1~2滴垂らして香りを嗅ぐなど、ご自身の好きな方法で香りを楽しみましょう。精油の種類によって効果もさまざまですので、ご自身の好みに合わせて選びましょう。
適度な運動で血行促進とストレス軽減
運動不足は、筋肉の衰えや血行不良を招き、膝の痛みを悪化させる可能性があります。ストレスを溜め込みやすくなる原因にもなります。適度な運動は血行を促進し、ストレスホルモンの分泌を抑える効果が期待できるため、膝の痛みとストレスの両方に良い影響を与える可能性があります。
ウォーキングや軽いジョギング、水泳、ヨガ、ストレッチなど、ご自身の体力に合わせた運動を行いましょう。水中ウォーキングは膝への負担が少ないため、おすすめです。痛みがある場合は、無理せず休憩を挟みながら行うことが大切です。運動をすることで、心身のリフレッシュにもつながります。
睡眠の質を高めるための工夫
睡眠不足は、ストレスを増大させ、体の回復力を低下させる可能性があり、膝の痛みも悪化しやすくなります。睡眠の質を高めるためには、規則正しい生活リズムを心がけ、就寝前にカフェインを摂取するのは控えましょう。寝る前にスマートフォンやパソコンを使用することも、睡眠の質を低下させる原因となるため、控えることが望ましいです。
寝室を暗く静かに保ち、リラックスできる環境を作ることも大切です。アロマを焚き、リラックス効果のある音楽を聴くこともおすすめです。質の高い睡眠を確保することで、ストレス軽減だけでなく、体の健康維持にもつながります。
認知行動療法でストレスへの対処法を学ぶ
認知行動療法は、ストレスの原因となる考え方や行動パターンを見直し、適切な対処法を身につけるための心理療法です。ストレスを感じやすい方は、認知の歪みや非適応的な行動パターンを持っている場合があります。
認知行動療法では、歪みやパターンを修正し、ストレスに上手く対処できるようになり、膝の痛みの悪化を防ぐことにもつながります。
認知行動療法は、専門の医療機関やカウンセラーの指導のもとで行われます。ご自身のストレスの原因を理解し、適切な対処法を学ぶことで、膝の痛みだけでなく、さまざまな心身の不調の改善にも効果が期待できます。
膝の痛みを悪化させないための対策4選
膝の痛みは、日常生活の質を大きく左右する深刻な問題です。ストレスを感じているときは、痛みが増幅し、長引くことがあります。ストレスによって引き起こされる、あるいは悪化する膝の痛みへの対策は、以下のとおりです。
- ストレッチで膝周りの筋肉をほぐす
- 痛みを悪化させる運動や姿勢を避ける
- サポーターやテーピングで膝関節を保護する
- 経験豊富な医師の診察で適切な治療を受ける
ストレッチで膝周りの筋肉をほぐす
ストレスを感じると、無意識のうちに全身の筋肉が緊張状態になります。膝周りの筋肉が硬直すると、膝関節への負担が増し、炎症や痛みを悪化させる可能性があるためストレッチで筋肉をほぐすことが重要になります。ストレッチ方法は、以下のとおりです。
部位 | ストレッチ方法 |
太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋) | 椅子に座り、片方の足を後ろに曲げ、かかとをお尻に近づけるように行います。痛みを感じない範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行うことがポイントです。 |
ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) | 壁に手をついて、片足を後ろに引き、かかとを床につけたまま膝を曲げることで行います。 |
膝裏の筋肉(ハムストリングス) | 仰向けに寝て、片膝を抱え込むように行います。 |
ストレッチは、1回10秒程度、左右3回ずつ行うのが目安です。毎日継続して行うことで、筋肉の柔軟性が向上し、膝への負担を軽減することができます。痛みを感じながら無理にストレッチを行うのは逆効果です。痛みが強い場合はストレッチを中止し、経験豊富な医師に相談しましょう。
痛みを悪化させる運動や姿勢を避ける
膝に痛みがあるときは、症状を悪化させる運動や姿勢は避けなければなりません。ランニングやジャンプ、急な方向転換を伴うスポーツなどは、膝関節に大きな衝撃を与え、痛みを悪化させる可能性があります。階段の上り下りも、膝への負担が大きいため、できるだけ避けるか、手すりを使って負担を軽減する工夫をしましょう。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けると、膝への負担を増大させます。1時間に1回程度は立ち上がって歩き、軽いストレッチをするなど、こまめに体を動かすようにしましょう。
猫背や反り腰などの悪い姿勢は、体の重心のバランスを崩し、膝関節への負担を増幅させます。日頃から正しい姿勢を意識し、立っているときや座っているときは、背筋を伸ばし、お腹に軽く力を入れるように心がけましょう。
サポーターやテーピングで膝関節を保護する
膝の痛みを和らげるためには、サポーターやテーピングを活用し、膝関節を外部からサポートすることが有効な場合があります。サポーターは膝関節の安定をサポートし、不要な動きを抑えることで痛みの軽減につながる場合があります。テーピングも膝の動きを補助し、適切に使用することで痛みの軽減が期待されます。
市販されているサポーターは多種多様なので、ご自身の症状や目的に合ったものを選びましょう。テーピングは、専門家(医師、理学療法士など)の指導を受けることが望ましいです。
経験豊富な医師の診察で適切な治療を受ける
膝の痛みが続く場合は、自己判断で対処するのではなく、経験豊富な医師の診察を受けましょう。医師は、症状や原因を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。
治療法は、薬物療法や理学療法、注射療法など多岐に渡ります。薬物療法では、痛みや炎症を抑える薬が処方されることがあります。理学療法では、ストレッチや筋力トレーニングを行い、膝関節の機能改善を目指すことが多いです。
膝蓋大腿痛(膝の前部に痛みがある疾患で、膝蓋大腿関節へのストレスの増加で痛みが悪化する)のように、ストレスが原因で膝の痛みが悪化する場合もあります。医師は個々の患者さんの危険因子をもとに、個別化された治療計画を立てます。
変形性膝関節症などのように、加齢や肥満などが原因で膝関節の軟骨がすり減り、炎症や痛みを引き起こす疾患も存在します。理学療法に加えて、関節内注射を行うことで、痛みや機能の改善が期待できる場合があります。ある研究では、デキストロースプロロセラピー(増殖療法の一つ)と理学療法の組み合わせが、痛み軽減と機能回復に効果的である可能性が示唆されています。
どの治療法が適切かは、患者さんの症状や原因によって異なります。自己判断で治療を行うと、症状を悪化させる可能性もあるため、経験豊富な医師に相談しましょう。
まとめ
ストレスは、筋肉の緊張を高め、生活習慣を乱すことで、膝の痛みを悪化させます。痛みを感じたら、まずはリラックスする時間を作り、適度な運動を取り入れてみましょう。湯船に浸かることや、アロマを楽しみ質の高い睡眠を確保することも大切です。
痛みが改善しない場合は、我慢せずに経験豊富な医師に相談しましょう。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
参考文献
- Rebecca A Dutton, Michael J Khadavi, Michael Fredericson. Patellofemoral Pain. Phys Med Rehabil Clin N Am, 2016 Feb;27(1):31-52.
- Alex Tang Zhao, Cassidy J Caballero, Linh T Nguyen, Hunter C Vienne, Christopher Lee, Alan D Kaye. A Comprehensive Update of Prolotherapy in the Management of Osteoarthritis of the Knee. Orthop Rev (Pavia), 2022, 14(4), 33921.