• 2025年3月22日

椎間板ヘルニアの症状と効果的な治療法!痛みからの解放へ

腰や足に痛みやしびれを感じ、日常生活に支障をきたしていませんか?もしかしたら、椎間板ヘルニアかもしれません。世界中で多くの人が悩まされている椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで起こる病気です。

初期症状は腰痛ですが、進行すると臀部や足先に痛みやしびれが広がり、日常生活に大きな負担がかかります。この記事では、椎間板ヘルニアの症状から診断方法、薬物療法や理学療法、手術療法まで、詳しく解説します。効果的な治療法について知り、腰の痛みからの解放への一歩を踏み出しましょう。

椎間板ヘルニアの症状と特徴

椎間板ヘルニアとは、正式には「椎間板ヘルニア症」と言います。椎間板の一部が本来の位置から飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれなどの神経症状を引き起こす状態です。単に椎間板が飛び出した状態を「椎間板脱出」と言いますが、神経症状を伴わない場合は椎間板ヘルニア症とは診断されません。

画像検査で椎間板の突出が見られても、症状がなければ治療の対象にはなりません。椎間板は、中心部の柔らかい髄核と、髄核を包む丈夫な線維輪で構成されています。線維輪は、線維が層になって重なっています。線維輪に亀裂が生じ、髄核が飛び出すことで椎間板ヘルニアは発生します。以下では、椎間板ヘルニアの症状と特徴を解説します。

腰痛の症状

椎間板ヘルニアの初期症状として最も多いのは腰痛です。飛び出した椎間板が周囲の組織や神経を刺激し、炎症を起こすことで腰に痛みを感じます。痛みの種類は人それぞれで、主に以下の2種類があります。

  • 鈍い痛み:じんわりと持続的に続く痛み
  • 鋭い痛み:電気が走るような、ナイフで刺されるような激しい痛み

痛みの悪化する姿勢や動作も人によって異なり、主に以下の姿勢や動作があります。

  • 長時間座っていると腰痛が悪化する
  • 寝返りを打つと痛みが強くなる
  • 前かがみになると腰に激痛が走る
  • くしゃみや咳など、お腹に力を入れる動作で腰痛が悪化する

症状の進行と特徴

椎間板ヘルニアの症状は、病気が進行するにつれて変化します。初期は腰痛のみのことが多いですが、次第に臀部や太もも、ふくらはぎ、足先などに痛みやしびれが広がることがあります。飛び出した椎間板が坐骨神経を圧迫することで起こる坐骨神経痛と呼ばれる症状です。

痛みやしびれは、多くの場合、片側の足に起こりますが、両足に起こる場合もあります。椎間板ヘルニアが進行すると、足に力が入りにくくなったり、感覚が鈍くなったりすることもあります。まれに、排尿や排便に障害が出現するケースもあります。症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

椎間板ヘルニアは、加齢や日常生活での負担、けがなどが原因で起こります。線維輪の外側部分の椎間板周囲線維(AF)が損傷すると、リスクが高まると言われています。

最新の研究では、組織工学や細胞再生、遺伝子治療などを用いたAF修復の研究が進められています。現時点ではまだ最適な治療法は確立されておらず、今後の研究の進展が期待されています。

椎間板ヘルニアの診断方法と評価

椎間板ヘルニアの診断方法は、以下のとおりです。

  • レントゲン検査
  • MRI診断
  • 神経学的検査

レントゲン検査

レントゲン検査は、骨の状態を確認するための基本的な検査です。椎間板ヘルニアはレントゲンに写らない軟骨の異常なので、ヘルニアそのものを直接確認することはできません。背骨の並びや変形、骨棘の有無などを確認することで、ヘルニアが潜んでいる可能性や他の病気の可能性を検討できます。

背骨の隙間が狭くなっていたり、背骨がずれていたりする場合は、椎間板ヘルニアが疑われます。腰痛の原因には、椎間板ヘルニア以外にも、腰部脊柱管狭窄症や変形性腰椎症など、似たような症状が出るものがあります。レントゲン検査で似たような症状を除外することで、椎間板ヘルニアの診断をより確実なものにできます。

近年、腰椎椎間板ヘルニアの発生率は増加傾向にあります。発症年齢も若年化しているため、他の疾患との鑑別がより重要になっています。

MRI診断

MRI検査は、強力な磁石と電波を使って、身体の断面を画像化する検査です。レントゲンでは見ることができない椎間板の状態を鮮明に映し出すことができ、椎間板ヘルニアの診断に有効です。

MRI検査では、飛び出した椎間板が神経を圧迫している様子や、炎症の程度などを確認できます。ヘルニアの大きさや位置、神経への影響などを正確に把握することで、最適な治療方針を決定するうえで重要な情報となります。神経を圧迫している様子が鮮明にわかるため、ご自身の状態を視覚的に理解しやすくなります。

神経学的検査

神経学的検査は、医師が患者さんの神経の働きを調べる検査です。医師は、感覚や運動機能、反射などを確認することで、神経が圧迫されているかどうかを判断します。椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、しびれや麻痺、筋力低下などの症状が現れることがあります。

神経学的検査では、症状の程度や範囲を評価し、どの神経がどの程度影響を受けているかを調べます。足を軽く叩いて反射の強さを確認したり、つま先立ちやかかと歩きでバランス感覚を調べたりします。皮膚の感覚を綿棒などで確認することもあります。

神経学的検査によって、目に見えない神経のダメージを客観的に評価できるため、治療方針決定の際に役立ちます。糖尿病の合併症として神経障害が起こる場合もあるため、糖尿病の既往がある方は医師に伝えることが重要です。

問診や診察で得られた情報と合わせて、レントゲンやMRI、神経学的検査の結果を総合的に判断します。患者さん一人ひとりに最適な治療法を選択することが可能になります。

椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療法について、以下の内容を解説します。

  • 保存療法としての薬物療法
  • 理学療法による症状改善
  • 手術療法の種類とリスク

保存療法としての薬物療法

保存療法とは、手術を行わずに薬物療法や理学療法、生活指導などを組み合わせて、症状の改善を目指す治療法です。薬物療法の目的は、痛みや炎症を抑え、神経の働きを正常化することです。使用される薬の種類は、以下のとおりです。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
    痛みや炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで、痛みや腫れを軽減します。市販の痛み止めにも含まれている成分ですが、医療機関ではより効果の高いNSAIDsを処方することが可能です。
  • ステロイド薬
    強力な抗炎症作用を持つ薬です。炎症が強い場合や、NSAIDsで効果が不十分な場合に使用されます。内服薬だけでなく、神経の近くに直接注射する「神経根ブロック注射」という方法もあります。神経根ブロック注射は、ピンポイントで炎症を抑えることを目的としており、即効性が期待できることがあります。
  • 神経障害性疼痛治療薬
    飛び出した椎間板によって神経が圧迫されると、しびれや焼けるような痛みなどの神経障害性疼痛が出現することがあります。プレガバリンやデュロキセチンなどの神経障害性疼痛治療薬に効果が期待できます。
  • 筋弛緩薬
    筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する薬です。椎間板ヘルニアでは、痛みによって周囲の筋肉が緊張し、さらに痛みが悪化するという悪循環が起こることがあります。筋弛緩薬は、悪循環を緩和し、症状の改善を促す可能性があります。

患者さんの症状や状態に合わせて、適切な種類や量、投与方法(内服、外用、注射)が選択されます。薬物療法は、他の保存療法と組み合わせて行われることが多く、特に初期治療において重要な役割を果たします。

理学療法による症状改善

理学療法は、運動療法や物理療法、マッサージ、姿勢指導などを通して、身体の機能回復や改善を図る治療法です。椎間板ヘルニアの理学療法について、それぞれ解説します。

  • 運動療法
    ストレッチや筋力トレーニングなどを通して、腰や背中の筋肉を強化し、柔軟性を高める運動を行います。腰痛体操や、バランスボールを使ったエクササイズなどがあります。患者さんの症状や身体の状態に合わせて、理学療法士が個別に指導します。
  • 物理療法
    温熱療法や電気刺激療法、牽引療法など、機器を用いて痛みを和らげたり、血行を促進したりします。温熱療法は、患部に温熱を当てることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。電気刺激療法は、低周波や高周波の電気を用いて、痛みの緩和や筋肉の刺激を行います。牽引療法は、腰椎を引っ張ることで、椎間板にかかる圧力を軽減し、痛みを和らげる効果が期待できます。
  • マッサージ
    マッサージは、緊張した筋肉をほぐし、血行を促進することで、痛みの軽減に役立つ場合があります。
  • 姿勢指導
    悪い姿勢は腰への負担を増大させ、椎間板ヘルニアの症状を悪化させる可能性があります。理学療法士は、患者さん一人ひとりに合った正しい姿勢や動作を指導し、日常生活における腰への負担を軽減するためのアドバイスを行います。

理学療法は、専門の理学療法士によって行われます。理学療法士は、患者さんの症状や身体の状態を丁寧に評価し、個々に合わせたプログラムを作成します。継続的に理学療法を行うことで、症状の改善が期待でき、再発予防にも役立つ可能性があります。

「腰椎椎間板ヘルニアの診断、治療、リハビリテーションに関するガイドライン」においても、理学療法は重要な要素として位置づけられています。

手術療法の種類とリスク

保存療法を3か月程度継続しても症状が改善しない場合や、排尿・排便障害などの重篤な症状が出現した場合は、手術療法が検討されます。手術療法には、大きく分けて「開放手術」と「内視鏡手術」の2種類があります。

  • 開放手術
    皮膚を数センチ切開し、筋肉を剥離して椎間板に到達し、ヘルニアを取り除く方法です。手術の視野が広く、確実なヘルニア摘出が可能です。
  • 内視鏡手術
    腹部や背中に小さな穴を開け、内視鏡を挿入してヘルニアを取り除く方法です。傷が小さく、身体への負担が少ないというメリットがあります。近年では、内視鏡を用いた手術が増えてきています。胸椎ヘルニアに対する内視鏡手術のメタアナリシスによると、合併症発生率は比較的低く、安全性と有効性が示唆されています。

それぞれの術式にはメリット・デメリットがあり、患者さんの状態やヘルニアの部位、大きさなどによって最適な方法が選択されます。手術には、感染や神経損傷などのリスクも伴いますので、医師とよく相談し、納得したうえで手術を受けることが大切です。手術後には、リハビリテーションを行うことで、よりスムーズに日常生活へ復帰できます。

まとめ

椎間板ヘルニアの症状は、初期は腰痛のみであることが多いです。次第に、臀部や太もも、ふくらはぎ、足先などに痛みやしびれが広がることがあります。診断は、問診や診察、画像検査、神経学的検査を組み合わせて行います。

治療法は、保存療法である薬物療法や理学療法で症状の改善が見込めます。症状が改善しない場合や重篤な症状がある場合は、手術療法も選択肢となります。椎間板ヘルニアは、適切な治療を受けることで、症状の軽減が期待でき、日常生活の質を向上させることが目指せます。

少しでも気になる症状がある方は、早めに医療機関を受診し、専門医のアドバイスに従って治療を進めていきましょう。

参考文献

もり整形外科 079-562-5169 ホームページ