- 2025年3月22日
椎間板ヘルニアを早く治す方法と痛みを軽減する効果的対策
腰や足の痛み、しびれに悩まされていませんか?症状がある方は、椎間板ヘルニアが引き起こされている可能性があります。椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にある椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫することで、痛みやしびれを引き起こす病気です。
この記事では、以下の内容を解説するので参考にしてください。
- 痛みを和らげる処置
- ヘルニアのタイプ別の対処法
- 椎間板ヘルニアの治療法
- 再発を防ぐための5つの注意点
記事を読むことで、椎間板ヘルニアの早期改善に向けて、具体的な対策を実践できるようになります。
椎間板ヘルニアを早く治すための適切な対応
適切なケアをすれば、多くの場合、手術をせずに症状の改善に期待できます。早く改善するためには、痛みを和らげたり、原因や仕組みを理解したりするなど、ヘルニアのタイプに合った適切な対処が重要です。
- 症状を和らげる応急処置
- タイプ別の対処法
症状を和らげる応急処置
痛みが出てから3日程度は、患部に炎症が起こっているため、冷やすと熱や腫れを抑え症状緩和の効果が期待できます。保冷剤などをタオルに包んで、15~20分を目安に冷やしてください。痛みの程度が強い場合には、医療機関を受診する必要があるため、下記の内容を参考にしてください。
症状の程度 | 応急処置 |
軽い痛み | 安静や冷湿布、市販の痛み止めで対応する |
中程度の痛み | 医療機関を受診し痛み止めや湿布薬の処方を受けます。痛みの程度によっては、コルセットを着用する場合もあります。 |
激しい痛み | 日常生活に影響がある場合には、神経ブロック注射を受ける場合があります。原因検索のために、MRI検査をおすすめします。 |
タイプ別の対処法
椎間板ヘルニアは、発生する部位によって以下に分けられます。タイプ別に症状や対処法を紹介します。
タイプ | 症状 | 対処法 |
頚椎椎間板ヘルニア | ・痛みやしびれ(首・肩・腕) ・手の動かしにくさ ・手の握力の低下 | 正しい姿勢を意識しながら、定期的に休憩します。激しい運動は控え、ストレッチで筋肉をほぐします。腕や手の症状が出る場合は、整形外科の受診をおすすめします。 |
胸椎椎間板ヘルニア | ・背中や胸の痛み ・呼吸困難感 ・肋間神経痛 | 正しい姿勢を保ちましょう。重いものを持ち上げると症状が悪化するため避けてください。痛みが強い場合は医師の診察を検討してください。 |
腰椎椎間板ヘルニア | ・痛みやしびれ(腰や足) ・歩行困難 ・つま先立ちや踵歩きが困難 ・下肢の筋力低下 ・排尿・排便障害 | 安静を保ち、腰に負担をかけないようにします。適度な運動やストレッチを行うと、筋肉がほぐれます。腰周りの筋肉を強化すると悪化の予防が期待できます。症状が強く改善しない場合は、整形外科の受診を検討してください。医師の診察次第では、コルセットを使って腰を安定させます。 |
タイプ別に適切な対処をすると、早期治療・早期回復につながります。
椎間板ヘルニアの適切な治療法3選
椎間板ヘルニアの治療は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 保存療法
- 手術療法
- 最新治療
治療法には特徴があり、患者さんの状態や症状の重さによって最適な方法が異なります。
保存療法
保存療法は、手術をせずに薬物療法や理学療法、装具療法などを組み合わせて行います。椎間板ヘルニアと診断された人の多くは、保存療法から始めます。
薬物療法は、痛みや炎症を抑える薬を使用します。薬は副作用のリスクもあるため、医師の指示に従った適切な服用が重要です。薬の種類と期待できる効果は、以下のとおりです。
薬の種類 | 薬の効果 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) | 炎症を抑えて、痛みを和らげる |
神経障害性疼痛治療薬 | 神経の損傷による痛みやしびれを軽減する |
ステロイド薬 | 炎症を抑える |
理学療法は、ストレッチや筋力トレーニングなどを通して、腰や背骨周りの筋肉を強化したり、柔軟性を高めたりします。理学療法士が、個々の患者さんの状態に合わせたプログラムを作成し、指導します。日常生活で無理なく続けられる運動を身につけると、痛みの再発予防につながります。
装具療法は、コルセットを装着して腰を支え、負担を軽減します。コルセットは、腰の動きを制限することで痛みを和らげ、安静を保てます。長期間コルセットに頼りすぎると、腰周りの筋肉が弱くなってしまう可能性があるため、医師の指示に従って使用することが大切です。
神経ブロック療法は、痛みの原因となっている神経に直接薬剤を注射し、痛みを遮断する治療法です。痛みが強い場合に有効ですが、効果は一時的な場合もあります。
手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、症状が重い場合は手術を検討します。技術の進歩により、体への負担が少ない手術法もあります。手術の種類と特徴は、以下のとおりです。
手術の種類 | 手術の特徴 |
椎間板摘出術 | ・皮膚を切開し飛び出した椎間板を取り除く手術 ・症状が重い場合や、神経が圧迫されて麻痺などの症状が出ている場合に有効 |
内視鏡手術 | 精密な手術が可能です。メリットは以下3つです。・皮膚の切開が小さく済む ・術後の痛みが軽度 ・回復期間が短い |
椎間固定術 | 椎骨を金属などで固定する手術です。固定すると脊柱が安定します。 |
最新治療
椎間板ヘルニアの治療法は常に進化しており、再生医療やレーザー治療などの新しい治療法も登場しています。椎間板再生医療は、患者さん自身の血液や骨髄から採取した細胞を培養します。細胞を損傷した椎間板に注入することで、組織の再生を促す治療法です。自分の細胞を使うため、拒絶反応のリスクが低いメリットがあります。
レーザー治療は、椎間板内の水分を蒸発させ、ヘルニアの体積を小さくすることで神経への圧迫を軽減する目的があります。体への負担が少ない治療法ですが、すべての症例に適用はしません。
最新治療は、研究段階のものや、特定の医療機関でしか受けられない場合があります。医師とよく相談し、ご自身の状態に最適な治療法を選択しましょう。
治療法の選び方
椎間板ヘルニアの治療は、患者さんの症状の程度や生活スタイル、本人の希望を総合的に考慮し、医師と相談したうえで最適な方法を選びます。
保存療法は、手術をせずに薬やリハビリテーション、装具療法などで痛みや症状を和らげる治療法です。効果が見られるまで期間を要しますが、体への負担は軽度です。リハビリテーションは、再発予防にもつなげられます。
保存療法を数週間~数か月続けても効果が見られない場合や、日常生活に支障が出るほどの激しい痛みがある場合は、手術を検討する可能性があります。手術は3種類あるため、患者さんの症状やヘルニアの状態、全身状態によって選択します。医師と相談し、メリットとデメリットを理解したうえで、手術を受けるか判断します。
最新治療に関心がある場合は、患者さんのヘルニアが治療法に適しているのか医師に相談してください。最新医療を受けられる医療機関も限定されるため、状況に応じて紹介状が必要になります。
椎間板ヘルニアの再発予防の注意点5選
椎間板ヘルニアの再発予防の注意点は以下の5つです。
- 日常生活での姿勢
- 睡眠時の姿勢
- 適度な運動
- 体重管理
- 定期的な検診
毎日の習慣に取り入れると、再発のリスクを減らし健康な体が維持できます。
日常生活での姿勢
日常生活での正しい姿勢や動きを意識すると、腰への負担を軽減し、椎間板ヘルニアの再発を抑えられる可能性があります。負担を軽減させる注意点は、以下のとおりです。
姿勢・動き | 注意点 |
起立 | お腹に軽く力を入れて背筋を伸ばします。猫背は腰に負担がかかるため、避けてください。 |
座位 | 椅子に深く腰掛けて、背もたれを利用し体を支える姿勢をします。浅く座ったり、足を組んだりすると腰に負担がかかります。 |
重いものを持ち上げる | 膝を曲げて腰を落としてから物を持ち上げます。足の力を使うと腰への負担が軽減します。腰だけを曲げて持ち上げると、起き上がりに負荷がかかるため避けてください。 |
睡眠時の姿勢
睡眠中は無意識のうちに、腰に負担がかかる姿勢をとってしまう場合があります。仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションを置きます。膝を軽く曲げると、筋肉がリラックスし腰への負担が軽減できます。
横向きで寝る場合は、抱き枕やクッションを両膝の間に挟むと、腰がねじれるのを防ぎ、負担を軽減できます。うつ伏せで寝る場合は、腰が反りやすく、椎間板への負担が大きくなってしまうため、なるべく避けてください。うつ伏せは、お腹の下に薄いクッションを敷くと負担の軽減がはかれます。
適切な睡眠姿勢を保つと、質の高い睡眠につながります。
適度な運動
適度な運動は、椎間板ヘルニアの再発予防に効果的です。運動不足になると、腰を支える筋肉が弱くなり、椎間板への負担が増加してしまいます。適度な運動を行うと筋肉を鍛え、腰の安定性を高められます。
ピラティスは、腰椎椎間板ヘルニアの症状のある患者さんにおいて、疼痛レベルと機能障害を軽減し、柔軟性や持久力を改善する効果的で安全な方法であることが研究で報告されています。
体重管理
体重管理は、椎間板ヘルニアの再発予防に重要です。過剰な体重は、腰への負担を増大させ、ヘルニアの再発リスクを高めます。体重が増えると、椎間板にかかる圧力が増し、飛び出しやすくなってしまう可能性があります。
バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重を維持しましょう。急激なダイエットは逆効果になる場合もあるため、医師や栄養士に相談しながら、無理せず体重を管理しましょう。
定期的な検診
椎間板ヘルニアは再発しやすい病気です。定期的な検診は、早期発見・早期治療につながり、重症化を防ぐために重要です。検診は、医師が体の状態をチェックし、再発の有無を確認します。定期的に検診を受け、体の状態を把握すると適切なケアが続けられます。早期発見・早期治療は、生活の質を改善させます。
まとめ
椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が飛び出し神経を圧迫すると痛みが生じます。痛みを和らげるためには、患部を冷やし、安静を保ちましょう。必要に応じて医師の診察を受け、症状が強い場合には痛み止めの使用を検討します。
加齢や姿勢の悪さ、重いものを持ち上げる動作などが原因になる場合もあります。ヘルニアは頚椎と胸椎、腰椎の3つがあり、症状や対処法が異なります。治療法は保存療法、手術療法、最新治療の3つで、症状や本人の希望を考慮して選択します。
日常生活では、次の点に注意しましょう。
- 正しい姿勢を保つ
- 適度な運動
- 体重管理
- 定期検診
日頃から心がけ、再発予防や早期発見が重要です。
参考文献
Gülşan Taşpınar, Ender Angın, Sevim Oksüz. The effects of Pilates on pain, functionality, quality of life, flexibility and endurance in lumbar disc herniation. J Comp Eff Res, 2023, 12(1), e220144.