- 2025年5月25日
【セルフチェック】四十肩の症状チェックリスト!対策と受診の目安を解説
肩の痛みや動かしづらさに悩まされていませんか?実は四十肩のサインかもしれません。四十肩は放置すると日常生活に大きな支障をきたすこともあります。本記事では、四十肩の症状チェックリスト、対策、受診の目安を詳しく解説します。四十肩の症状は初期段階では肩の違和感や軽い痛みから始まり、徐々に悪化します。
夜間痛や腕が上がらない、後ろに回らないなどの症状が現れたら要注意です。チェックリストで多くの項目に当てはまる場合は、放置せずに早めに整形外科を受診することをおすすめします。つらい四十肩の症状を和らげ、早期回復を目指しましょう。
四十肩の症状チェックリスト
四十肩は、中高年に多く発症する肩関節周囲炎の1つです。四十肩のチェック項目を確認しておくことで、四十肩の進行度合いを判断する目安となります。初期症状のチェックリストは以下のとおりです。
- 肩に違和感や軽い痛みがある
- 特に夜間や朝方に痛みを感じる
- 肩を動かすと痛みが強くなる
- 服を着替える、髪を洗う、エプロンの紐を結ぶなどの動作がつらい
- 背中に手が届きにくくなった
- 運転中にハンドルを回すのがつらい
- 寝返りを打つと肩に痛みが出る
急性期のチェックリストは以下のとおりです。
- 激しい痛みがある
- 痛みのために夜も眠れない
- 肩をほとんど動かすことができない
- 少し動かしただけでも激痛が走る
慢性期のチェックリストは以下のとおりです。
- 痛みはやや軽減してきた
- 肩の動きが制限され、腕が上がらない、後ろに回らない
- 日常生活に支障が出ている(着替え、洗顔、食事など)
- 肩が硬くなって動きにくいと感じる
回復期のチェックリストは以下のとおりです。
- 痛みと動きの制限が徐々に改善してきた
- 肩を動かせる範囲が広がってきた
- 日常生活動作が楽になってきた
チェックリストで多くの項目に当てはまる場合や、症状が改善しない場合は、早めに整形外科を受診し、専門医の診断を受けることをおすすめします。自己判断で放置すると、症状が悪化したり、回復に時間がかかったりする可能性があります。
四十肩は、加齢による肩関節周囲の組織の老化や、肩関節の使いすぎ、基礎疾患、姿勢不良、運動不足などが原因で発症すると考えられています。
四十肩の受診の目安
四十肩の受診の目安は、以下に当てはまる場合です。
- 肩の痛みが1週間以上続く
- 夜間痛がある
- 拘縮(こうしゅく)が見られる
- 日常生活に支障が出ている
肩の痛みが1週間以上続く
1週間以上痛みが続く場合は、四十肩などの肩関節周囲炎の可能性も出てきます。四十肩は肩関節の周囲に炎症が起き、肩の痛みや動きの制限を引き起こす病気です。自然に治癒することもありますが、適切な治療によって回復が早まり、日常生活への早期復帰が期待できる場合があります。
1週間以上痛みが続く場合は、自己判断せず、整形外科を受診し、専門医の診断を受けることをおすすめします。
夜間痛がある
夜間、特に就寝時に肩の痛みが増強する「夜間痛」は、四十肩の重要なサインです。日中は痛みを感じなくても、夜になると痛みが強くなる場合もあります。夜間痛は、肩関節周囲の炎症が原因で起こります。炎症によって肩関節周囲の組織が腫れ、就寝時に肩にかかる圧力によって痛みが悪化すると考えられています。
夜間は副交感神経が優位になり、痛みに敏感になることも、夜間痛が増強する一因と考えられます。夜間痛は睡眠を妨げ、日常生活にも支障をきたす可能性があります。痛みを我慢し続けると、症状が悪化し、慢性化する恐れもあるため、早めに整形外科を受診しましょう。
拘縮(こうしゅく)が見られる
拘縮(こうしゅく)とは、関節の動きが制限される状態です。四十肩においては、肩関節周囲の炎症が長引くと、関節包や周囲の組織が硬くなり、癒着が起こることで拘縮が生じます。
四十肩の拘縮は、腕を上げたり、後ろに回したりする動作が困難になるといった症状として現れます。初期は痛みを伴うこともありますが、慢性期になると痛みは軽減する一方で、可動域制限が強く残存します。
拘縮が見られる場合は、四十肩が進行している可能性があります。放置すると、日常生活への影響が大きくなるだけでなく、関節の機能回復が難しくなる場合もあります。拘縮に気づいたら、速やかに整形外科を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
日常生活に支障が出ている
日常生活に支障が出ている場合は、四十肩が進行しているサインです。放置すると、症状が悪化し、日常生活がさらに困難になる可能性があります。早期に適切な治療の開始によって、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
整形外科で専門医の診断と適切な治療を受け、一日も早く日常生活を取り戻しましょう。
四十肩の対策3選
四十肩の症状を少しでも早く改善し、快適な生活を取り戻すために、家庭でできる以下の3つの対策を詳しく解説します。
- 無理な動きをしない
- 肩を温める
- 整形外科を受診する
無理な動きをしない
四十肩の初期段階である炎症期には、肩を動かすたびに強い痛みを感じることがあります。痛みを感じる時期に無理に肩を動かすと炎症が悪化し、痛みが慢性化するリスクが高まります。痛みの出やすい動作と対策を以下の表にまとめています。
痛みの出やすい動作 | 対策 |
洗濯物を干す | 物干し竿の高さを調整する、洗濯物を小分けにする、誰かに手伝ってもらう |
高いところの物を取る | 脚立や踏み台を使う、誰かに取ってもらう |
重い荷物を持つ | リュックサックやキャリーバッグを使う、荷物を小分けにする、誰かに持ってもらう |
四十肩の痛みが強い時期は、肩を安静にすることが重要です。なるべく安静にすることで炎症が落ち着き、痛みが軽減されます。しかし、全く動かさないでいると肩関節が硬くなってしまうため、痛みのない範囲で優しく肩を動かすようにしましょう。
肩を温める
四十肩が慢性期に入ると、肩関節周囲の組織が硬くなり、肩の動きが悪くなることがあります。対策として、肩を温めることで血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎ、痛みが軽減する効果が期待できます。肩を温める方法としては、ホットタオルや蒸しタオル、温湿布などを利用する方法がおすすめです。入浴も効果的です。
シャワーだけでなく、湯船にゆっくり浸かることで全身の血行が促進され、肩の痛みも和らぎます。温める際には、低温やけどをしないように温度に注意することが大切です。温めた後に急に冷やすと、かえって痛みが悪化することがあります。温めた後は、しばらく暖かい状態を保つようにしましょう。
整形外科を受診する
四十肩は多くの場合、自然に治癒する傾向にありますが、適切な治療を受けないと痛みが長引いたり、肩関節の動きが悪くなったりする可能性があります。症状が改善しない場合や日常生活に支障が出ている場合は、自己判断せずに早めに整形外科を受診しましょう。
医療機関への受診は、症状の早期改善と日常生活への早期復帰につながります。整形外科では、問診や視診、触診、レントゲン検査などを行い、四十肩かどうかを診断します。四十肩と診断された場合は、痛みの程度や肩関節の動きの状態に合わせて、適切な治療法が選択されます。
四十肩の治療法
四十肩の治療は、症状の程度や進行度、患者さんの状態に合わせて、さまざまな方法を組み合わせて行います。それぞれの治療法について、以下の4点を解説します。
- 薬物療法
- 理学療法
- 注射療法
- 手術療法
薬物療法
四十肩の薬物療法では、主に痛みや炎症を抑えることを目的として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。NSAIDsは、炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、痛みや炎症を軽減する作用があります。
NSAIDsは、市販薬としても入手可能ですが、自己判断で服用せず、医師の指示に従って服用することが重要です。胃腸障害などの副作用が生じる可能性があるため、医師は患者さんの状態に合わせて薬の種類や量を慎重に調整します。持病のある方や他の薬を服用している方は、必ず医師に伝えてください。
理学療法
理学療法は、身体の機能回復や改善を目的とした治療法で、四十肩においては肩関節の動きを改善するための運動療法が中心となります。理学療法の効果を高めるためには、患者さん自身が積極的に取り組むことが重要です。理学療法士は、患者さんの状態に合わせて適切な運動プログラムを作成し、実施方法を丁寧に指導します。
オーストラリアの研究では、理学療法は四十肩の治療に効果的であることが報告されており、特に肩甲骨のストレッチやインナーマッスル(肩甲骨周囲の小さな筋肉)の強化が有効とされています。
理学療法における運動は、痛みのない範囲で行うことが重要です。無理に動かすと症状が悪化してしまう可能性があるため、必ず理学療法士の指導のもとで実施してください。日常生活動作の中で、痛みを悪化させない身体の使い方も指導してもらえます。
注射療法
注射療法は、薬剤を直接患部に注射することで、より効果的に痛みや炎症を抑える治療法です。四十肩に対しては、主にステロイド注射とヒアルロン酸注射が用いられます。
ステロイド注射は、強力な抗炎症作用を持つステロイド薬を肩関節に注射する治療法です。炎症を抑える効果が期待できますが、ステロイド注射は関節周囲の組織を弱める可能性があるため、繰り返し行うことは推奨されていません。通常は月に1回程度の頻度で、合計3回までを目安に行います。
ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸を肩関節に注射する治療法です。四十肩では、肩関節周囲の組織が癒着することで動きが悪くなっているため、ヒアルロン酸を注射することで動きをスムーズにする効果が期待できます。
手術療法
四十肩の多くのケースでは、保存療法(薬物療法、理学療法、注射療法など)により症状の改善が期待できます。痛みが強い場合や保存療法で効果が得られない場合には、手術療法が検討されることもあります。四十肩の手術療法には、関節鏡手術などがあります。
関節鏡手術は、小さな切開部からカメラと特殊な器具を挿入し、関節内部の状態を確認しながら行う手術です。従来の手術に比べて傷が小さく、身体への負担が少ないメリットがあります。四十肩の手術は、肩関節周囲の癒着をはがしたり、炎症を起こしている組織を除去したりするなど、さまざまな方法があります。
手術後は、肩関節の機能を回復させるためのリハビリテーションが必要になります。リハビリテーションは、理学療法士の指導のもとで行い、肩関節の可動域訓練や筋力トレーニングなどを実施します。リハビリテーション期間は患者さんの状態によって異なりますが、通常は数週間〜数か月かかります。
まとめ
肩の痛みや動きの制限を感じたら、まずはセルフチェックを行いましょう。無理な動きを避け、肩を温めるなどの対策が有効です。適切な治療を受けることで、四十肩の症状は改善が期待できます。不安を感じたら一人で悩まず、専門家への相談を検討されることをおすすめします。
参考文献
Louis Jacob, Sandra Lasbleiz, Katherine Sanchez, Odile Morchoisne, Marie-Martine Lefèvre-Colau, Christelle Nguyen, François Rannou, Antoine Feydy, Jean-Jacques Portal, Alexis Schnitzler, Eric Vicaut, Jean-Denis Laredo, Pascal Richette, Philippe Orcel, Johann Beaudreuil. Arthro-distension with early and intensive mobilization for shoulder adhesive capsulitis: A randomized controlled trial. Ann Phys Rehabil Med, 2024, 67(6), p.101852.