• 2025年3月2日

膝の痛み止めの選び方!症状別の効果と服用時の注意点

膝の痛み、年齢とともに気になりませんか?朝の立ち上がりや階段の上り下り、何気ない動作で痛みが出る経験のある方も多いのではないでしょうか。膝の痛みは、原因や程度によって適切な対処法が異なります。

痛みを放置すると慢性化したり、思わぬ病気が隠れていたりする可能性もあります。この記事では、以下について詳しく解説します。

  • 膝の痛みに効く薬
  • 膝の痛み止め服用時の注意点
  • 病院へ行くべき目安

つらい膝の痛みの改善を目指す第一歩を一緒に踏み出してみましょう。

膝の痛みに効く薬6選

痛みの原因や程度は人それぞれなので、適切な薬を選ぶことが大切です。膝の痛みに用いられることの多い薬を6種類ご紹介します。

  • 解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • COX-2阻害薬(セレコキシブなど)
  • オピオイド鎮痛薬
  • ヒアルロン酸注射
  • ステロイド注射

それぞれの薬の特徴を理解し、ご自身の症状に合った薬を選びましょう。自己判断せずに、医師や薬剤師に相談することも重要です。

解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、風邪で熱が出た時や頭痛時にも使われる、比較的副作用の少ない解熱鎮痛薬です。膝の痛みにも使用され、炎症を抑える効果はあまり強くありませんが、胃腸への負担が比較的少ないため、高齢の方や胃腸の弱い方でも比較的安心して服用できます。

アセトアミノフェンは、薬局で購入できるので手軽に利用できますが、用法・用量を守って服用することが大切です。過剰摂取すると肝臓に負担がかかる可能性があります。アルコールと一緒に服用すると、肝臓への負担が増す可能性があるので注意が必要です。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症を抑えるとともに痛みを和らげる作用があるとされています。膝の痛みや腫れが強い場合に使用されることが多く、ロキソプロフェンやジクロフェナク、イブプロフェンなど、さまざまな種類があります。内服薬だけでなく、湿布薬やゲル剤などの外用薬も広く利用されています。

NSAIDsは比較的速やかに作用し、痛みの軽減が期待されますが、胃腸障害などの副作用が現れる可能性があります。胃を守るため、空腹時の服用は避け、食後に服用するようにしましょう。腎臓の機能が低下している方や、高齢の方は特に注意が必要です。医師や薬剤師に相談しながら、適切な種類と量を服用するようにしてください。

COX-2阻害薬(セレコキシブなど)

COX-2阻害薬もNSAIDsの一種ですが、胃腸障害などの副作用が少ないとされています。セレコキシブが代表的な薬です。炎症や痛みを抑える効果はNSAIDsとほぼ同等ですが、胃腸への負担が少ないため、NSAIDsで胃腸障害を起こしやすい方に向いています。

COX-2阻害薬も全く副作用がないわけではありません。まれに、心血管系の副作用が現れる可能性があるため、持病のある方は医師に相談することが重要です。

オピオイド鎮痛薬

オピオイド鎮痛薬は、他の鎮痛薬では効果が不十分な場合に使用されることがある強い鎮痛作用を持つ薬です。モルヒネやオキシコドン、フェンタニルなどが代表的な薬で、がんによる痛みや手術後の痛みなど、強い痛みに対して効果を発揮します。

便秘や吐き気、眠気などの副作用が現れる可能性があり、長期連用により依存症になるリスクもあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節の動きを滑らかにする役割を担っています。変形性膝関節症では、ヒアルロン酸が減少していることが多く、関節内にヒアルロン酸を直接注射することで、痛みの軽減や関節の動きの改善が期待できる場合があります。

1週間に1回、数週間続けて注射するのが一般的です。効果はすぐに現れるわけではなく、数週間かけて徐々に効果が現れてきます。

ステロイド注射

ステロイドは、強力な抗炎症作用を持つ薬です。膝関節に直接注射することで、炎症を抑え、痛みを速やかに軽減する効果があります。即効性があり、痛みが強い場合に医師の判断で使用されることがあります。

関節軟骨の損傷や感染症などのリスクがあるため、頻回に注射することは避けるべきです。糖尿病や骨粗鬆症などの持病がある方は、医師に相談することが大切です。

膝の痛み止め服用時の注意点3つ

痛みを我慢して日常生活を送ることは、身体的にも精神的にも大きな負担となります。痛みを軽減するために、多くの人が頼るのが痛み止めです。痛み止めは正しく使わないと、効果が十分に得られないばかりか、身体に思わぬ悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。

安全に痛み止めを使用して、つらい痛みを適切に管理するために、以下の3つのポイントをぜひ意識してください。

  • 副作用に注意する
  • 服用量と服用間隔を守る
  • 自己判断で服用を中止しない

副作用に注意する

痛み止めは、痛みを和らげる効果がある一方で、副作用が現れる可能性があります。吐き気や胃のむかつき、便秘、眠気、めまいなど、さまざまな症状があります。副作用は、薬の種類や患者さん一人ひとりの体質によって大きく異なります。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、炎症を抑える効果が高い反面、胃腸障害などの副作用のリスクも比較的高いです。NSAIDsは、炎症を引き起こす物質のプロスタグランジン生成を抑制し、炎症や痛みを軽減します。

プロスタグランジンは胃粘膜の保護にも関わるため、NSAIDsを服用すると、胃酸から胃を守れなくなり、胃の粘膜が傷つきやすくなります。NSAIDsを服用する際は、胃腸障害に注意が必要です。

アセトアミノフェンは、NSAIDsに比べて胃腸への負担が少ないメリットがありますが、過剰摂取すると肝機能障害を引き起こす可能性があります。アセトアミノフェンは、肝臓で代謝される際に、一部が毒性のある物質に変化します。

通常は、毒性物質は肝臓の働きによって無毒化されますが、過剰に摂取すると、肝臓の処理能力を超えてしまい、肝臓にダメージを与えてしまいます。

服用量と服用間隔を守る

痛み止めを服用する際には、決められた服用量と服用間隔を必ず守るようにしましょう。多くの場合、痛み止めは、1日に3〜4回、食後に服用します。痛みが強いからといって、自己判断で服用量を増やしたり、服用間隔を短くしたりすることは大変危険です。過剰摂取は、副作用のリスクを高めることにつながるからです。

複数の種類の痛み止めを同時に服用することも避けましょう。薬同士の飲み合わせによっては、予期せぬ副作用が現れる可能性があります。複数の薬を服用する必要がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。

自己判断で服用を中止しない

痛み止めを服用して痛みが治まっても、自己判断で服用を中止することは避けましょう。変形性膝関節症などの慢性的な痛みの場合、痛みが一時的に治まったように見えても、根本的な原因が解決していない可能性があります。

自己判断で服用を中止すると、痛みがぶり返したり、症状が悪化したりする可能性があるので注意が必要です。長期間にわたって痛み止めを服用すると、身体に負担がかかり、副作用が現れやすくなります。痛みが長引く場合は、医療機関を受診し、医師の指示に従うことが大切です。

病院へ行くべき2つの目安

「そのうち治るだろう」と安易に考えて放置してしまうと、痛みが慢性化したり、思わぬ病気が隠れていたりする可能性もあるため注意が必要です。整形外科を受診したほうが良いケースを以下の2つの観点からご説明します。

  • 持病がある場合
  • 痛みが長引く場合

持病がある場合

持病のある方は、膝の痛みが生じた際により慎重な対応が必要です。心臓病や腎臓病、肝臓病、糖尿病などの持病をお持ちの方は、市販の痛み止めを服用する前に、必ず医師または薬剤師にご相談ください。市販薬との飲み合わせが悪く、予期せぬ副作用が生じたり、持病の症状を悪化させたりする可能性があります。

心臓病の方は、一部の痛み止めによって血圧が上昇し、心臓への負担が増大する可能性があります。腎臓病や肝臓病の方は、薬の代謝や排泄に影響が出やすいため、通常よりも副作用のリスクが高まります。

糖尿病の方は、血糖値のコントロールに影響を与える痛み止めもあるため注意が必要です。過去に薬でアレルギー反応が出たことがある方も、必ず医師または薬剤師にご相談ください。

痛みが長引く場合

痛みの程度や原因によって個人差はありますが、一般的には2週間以上痛みが続く場合は、医療機関への受診を検討しましょう。自然に治る可能性が低く、何らかの原因があると考えるべきです。早期に発見し、適切な治療を開始することで、症状の悪化や後遺症のリスクを軽減することができます。

以下のような症状を伴う場合は、重篤な疾患のサインである可能性があります。

  • 膝の腫れ
  • 熱感
  • 関節の動きの制限
  • 歩行困難

自己判断で様子を見ずに、速やかに医療機関を受診しましょう。

まとめ

ご自身の痛みの種類や程度、持病の有無などを考慮して、適切な薬を選ぶことが大切です。市販薬で様子を見る場合も、用法・用量を守り、副作用に注意しましょう。

痛みが長引く場合は自己判断せず、医療機関を受診するようにしてください。適切な治療で、痛みから解放されて、快適な生活を取り戻しましょう。

参考文献

もり整形外科 079-562-5169 ホームページ