• 2025年3月9日

【セルフチェック】半月板損傷の症状をチェック!早期発見の重要性

日常生活で膝に痛みや違和感を感じたことはありませんか?実は、スポーツ選手だけでなく、一般の人も半月板損傷のリスクを抱えています。階段の昇り降りやしゃがむ動作で痛みが増す、膝が引っかかる、腫れるといった症状は半月板損傷のサインである可能性があります。

2023年の研究では、損傷部位によって最適な手術法が異なることが示唆されています。早期発見と適切な治療は、将来の膝の健康や快適な日常生活を送るうえで重要です。放置すると変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があるとされています。

本記事では、膝の健康を守るために、半月板損傷について以下のポイントをご紹介します。

  • 半月板損傷の主な症状チェックポイント5つ
  • 半月板損傷の診断方法と検査
  • 診断に必要な医師の選び方
  • 半月板損傷の治療法とリハビリプラン
  • 再発を防ぐための生活習慣改善策

半月板損傷の主な症状チェックポイント5つ

膝に痛みや違和感など、いつもと違うと感じたら半月板損傷の可能性を疑いましょう。スポーツでの激しい動きだけでなく、日常生活の何気ない動作で発症することもあります。

早期発見と適切な治療は、将来の膝の健康を守るために重要です。ご自身の膝の状態を確認する5つのチェックポイントは、以下のとおりです。

  • 膝の痛み
  • 引っかかり感
  • 腫れや熱感
  • ロッキング現象
  • 可動域の制限

膝の痛み

半月板損傷の痛みの特徴は、膝の内側や外側に現れやすい傾向があります。痛みの種類や強さは、損傷の範囲や場所、炎症の程度によって大きく異なります。

損傷の程度が軽ければ違和感程度の軽い痛みであることもありますが、損傷が重度になると鋭い痛みで歩くことさえままならない場合もあります。膝の痛みの種類は、以下のとおりです。

  • ナイフで刺されたような瞬間的な鋭い痛み
  • ズキズキ、ジンジンとした鈍い痛み
  • 何かが詰まっている、引っ張られるような違和感

痛みは安静にしているときにも続き、夜間に悪化するようであれば注意が必要です。日常生活に支障が出る前に医療機関への受診を検討しましょう。

引っかかり感

半月板損傷では、膝の曲げ伸ばしで引っかかるような感覚があります。損傷した半月板の一部が、関節の動きを物理的に妨げることで生じます。

引っかかり感は、常に感じる場合や膝の角度が一定の範囲にあるときだけ生じる場合があります。引っかかり感とともにクリック音やゴリゴリする音は損傷した半月板が他の組織と接触することで生じる音と考えられます。

腫れや熱感

半月板損傷が起こると、損傷による炎症で関節内に液体が溜まり、数時間から数日かけて膝が腫れることがあります。腫れは損傷の程度が大きいほど顕著になる傾向があり、損傷部位に熱感や赤みを伴う場合もあります。

症状が見られる場合は、炎症反応が進行している可能性が高いため、速やかに医療機関を受診する必要があります。

ロッキング現象

ロッキング現象とは、損傷した半月板の一部が関節に挟まることで起こります。膝が一定の角度で動かなくなり、膝を曲げ伸ばしすることができずに激しい痛みを伴います。膝が急に動かなくなり強い痛みを感じるような場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

ロッキング現象は半月板損傷の中でも重症なケースで起こりやすい症状であるため、放置すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

可動域の制限

半月板損傷によって、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、可動域が制限されることがあります。損傷した半月板や炎症が関節の動きを制限するため、膝を完全に伸ばすことや深く曲げる動作が困難になります。

可動域の制限は日常生活にも大きな影響を与え、普段何気なく行っていた動作が困難になることがあります。

症状はすべて現れるわけではなく、人それぞれです。少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せずに医師の診察を受けることをおすすめします。

半月板損傷の診断方法と検査

膝の痛みや違和感を感じる場合、自己判断は禁物です。医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。半月板損傷の検査方法は、以下のとおりです。

  • レントゲン検査
  • MRI検査

レントゲン検査

レントゲン検査は、骨の状態を調べる検査です。半月板自体は軟骨のためレントゲン写真には写りませんが、半月板損傷に合併しやすい変形性膝関節症や骨折の有無を確認するために重要な検査です。痛みや被ばくの心配が少なく、検査時間は5分程度で済みます。

MRI検査

MRI検査は、強力な磁場と電波を使って膝関節の断層画像を撮影する検査です。レントゲン検査では見えない半月板や靭帯、筋肉、腱などの軟部組織の状態を詳細に確認でき、半月板損傷の診断にはMRI検査が有効な検査方法です。

半月板の損傷の程度や部位、損傷の形などを正確に把握することができ、半月板の辺縁部の小さな損傷から半月板全体に及ぶ大きな損傷までさまざまなタイプの損傷を画像で確認することが可能です。

検査を受ける際は、身体に金属(ネックレス、ピアス、入れ歯、腕時計など)を身に着けていないかを確認する必要があります。ペースメーカーや人工内耳など、体内に金属が埋め込まれている場合は、MRI検査を受けられない可能性があるため事前に医師に相談しましょう。検査時間は30分程度です。

診断に必要な医師の選び方

半月板損傷の診断には、整形外科や膝関節を専門とする医師の診察が必要です。診断に必要な医師の選び方は、以下のとおりです。

  • 経験豊富な医師は身体診察や問診
  • レントゲン検査
  • MRI検査

医療機関の情報サイトや日本整形外科学会のウェブサイトなどを参考に経験豊富な医師を探しましょう。受診する際は、症状(いつから、どんなときに、どんな痛みか)や気になること、スポーツ歴などをメモしておくとスムーズに問診を受けられます。

半月板損傷の治療法とリハビリプラン

半月板損傷と診断された後、治療方針は損傷の程度や部位、年齢、生活スタイル、スポーツの頻度などさまざまな要素を考慮して決定されます。適切な治療とリハビリによって痛みを軽減し、膝の機能を回復させ、スポーツや日常生活への復帰を目指しましょう。半月板損傷の治療法とリハビリプランについては、以下の項目に沿って解説します。

  • 保存療法と手術療法
  • リハビリ期間の目安と実施内容

保存療法と手術療法

半月板損傷の治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれにメリット、デメリットがあり、どの治療法を選択するかは患者さん一人ひとりの状況によって異なります。医師とよく相談しご自身に合った治療法を選びましょう。治療法を選択するポイントは、以下のとおりです。

  • 損傷の程度や部位
  • 症状
  • 年齢
  • 活動レベル

保存療法は、手術をせずに痛みや炎症を抑え、膝の機能を回復させることを目的とした治療法です。保存療法は、以下のとおりです。

  • RICE処置
  • 消炎鎮痛剤の内服
  • ヒアルロン酸注射
  • 装具療法、
  • リハビリテーション

損傷の程度が軽度〜中等度の場合や高齢者、手術のリスクが高い場合などに検討されることが多いです。

手術には、半月板縫合術や半月板切除術などがあります。関節鏡を用いた手術が一般的で手術部位が小さく、身体への負担も少ないのが特徴です。損傷の程度が重度の場合や保存療法で効果が得られない場合などに適応されます。

リハビリ期間の目安と実施内容

リハビリは、半月板損傷の治療において重要な役割を果たします。膝関節の機能回復や日常生活動作の改善、スポーツ復帰など、患者さん一人ひとりの目標達成のために個別のリハビリプランを作成します。

リハビリの期間や内容は損傷の程度や治療法によって異なりますが一般的には数週間から数か月かかります。リハビリの内容は、以下の表のように初期、中期、後期に分けられます。

リハビリ時期実施内容の例
期間

初期
アイシング、マッサージ、関節可動域訓練(膝の曲げ伸ばし)約1〜2週間(損傷程度により異なる場合があります)

中期
筋力トレーニング(スクワット、レッグプレス)、ストレッチ、水中ウォーキング約2〜6週間(損傷程度により異なる場合があります)

後期
ランニング、ジャンプ、競技動作の練習(バスケットボールのドリブルなど)約6週間〜3か月(競技レベルや目標により異なる場合があります)

再発を防ぐための生活習慣改善策

半月板損傷は、一度治癒しても再発する可能性があるため、日常生活における適切なケアと生活習慣の改善が重要です。適切な体重管理も膝関節への負担を軽減するうえで重要です。肥満は膝関節への負担を増大させるため、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。

適度な運動は膝関節の周りの筋肉を強化し、関節の安定性を高める効果が期待できます。ウォーキングや水泳など膝関節への負担が少ない運動を継続的に行いましょう。

急な方向転換を伴う激しい運動は再発のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。日常生活では正しい姿勢を保つように心がけましょう。太ももの筋肉の柔軟性を高めることは膝関節の安定性を向上させ、損傷のリスクを軽減するために重要です。

適切な靴選びも重要です。クッション性の高い靴を履くことで膝関節への衝撃を吸収し、負担軽減に役立ちます。生活習慣を改善することで半月板損傷の再発予防だけでなく、健康な膝関節を維持することにもつながります。

まとめ

5つのセルフチェックで半月板損傷の可能性を確認し、不安な方は整形外科を受診することをおすすめします。レントゲン検査やMRI検査で半月板損傷を診断され、損傷の程度によって保存療法(安静、薬物療法、リハビリなど)や手術療法が選択されます。

早期発見・早期治療は、将来の膝の健康維持に役立つと考えられています。医師の指示に従い、適切なリハビリと生活習慣の改善で再発予防にも努めましょう。少しでも気になる症状があれば、一人で悩まず経験豊富な医師に相談して快適な膝の生活を目指しましょう。

参考文献

D’Ambrosi R, Meena A, Raj A, Ursino N, Mangiavini L, Herbort M, Fink C. In elite athletes with meniscal injuries, always repair the lateral, think about the medial! A systematic review. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 2023;31(6):2500-2510.

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