- 2025年3月22日
椎間板ヘルニアでやってはいけないこと!悪化を防ぐ対策
腰の痛みやしびれがある場合、椎間板ヘルニアを患っている可能性があります。日常生活の何気ない行動が、椎間板ヘルニアの症状を悪化させる場合があるため注意が必要です。重いものを持ち上げることは、椎間板ヘルニアを悪化させる代表的な行動です。
この記事では、椎間板ヘルニアを悪化させる危険な行動と、症状を和らげるための効果的な対策を解説します。自分の日常生活を見直し、椎間板ヘルニアを悪化させない生活を意識しましょう。日常生活の小さな工夫により快適な生活を取り戻せる可能性があります。
椎間板ヘルニアを悪化させるNG行動5選
椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッション材である椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす疾患です。椎間板ヘルニアを悪化させるNG行動は以下のとおりです。
- 重いものを持ち上げる
- 激しい運動を行う
- 長時間同じ姿勢を続ける
- 猫背などの悪い姿勢をとる
- 喫煙する
重いものを持ち上げる
重いものを持ち上げる際は、腰に大きな負担がかかります。中腰の姿勢で持ち上げると、椎間板への圧力が増加し、ヘルニアの悪化につながる危険性が高まるため特に注意が必要です。
スーパーで買い物袋を持つ、小さなお子さんを抱き上げるなどの日常的な動作でも、姿勢が悪いと腰に大きな負担がかかります。重いものを持ち上げる必要がある場合は、膝を曲げて腰を落とし、スクワットの姿勢を意識しましょう。
スクワットの姿勢を保つことで、腰への負担を軽減し、椎間板への圧力を分散させられます。荷物を持つ際は、体幹に近づけて持つことも重要です。身体から離れた位置で持つと、腰への負担が増大します。できるだけ台車などを使用し、無理をしないことも大切です。
激しい運動を行う
激しい運動は、椎間板ヘルニアの症状を悪化させる可能性があります。特に、ランニングやジャンプなどの腰に強い衝撃が加わる運動は避けてください。腰に強い衝撃が加わる運動は、椎間板に過度な負担をかけ、炎症を悪化させる可能性があります。
椎間板ヘルニアの場合は、ウォーキングや水泳など、腰への負担が少ない運動がおすすめです。ウォーキングは、全身の血行を促進する効果があり、水泳は浮力によって腰への負担が軽減されるため、安全に運動できます。ウォーキングや水泳は、腰周りの筋肉を鍛えるのに役立つとされています。
症状が強い時期は、運動を控えることが大切です。痛みが強いときに無理に運動すると、症状を悪化させる可能性があります。運動を開始する際は、医師に相談し、適切な運動の種類や強度、頻度について指導を受けましょう。
長時間同じ姿勢を続ける
デスクワークや車の運転など、長時間同じ姿勢を続けることも、椎間板ヘルニアを悪化させる要因です。同じ姿勢を長時間続けると、特定の筋肉に負担がかかり続け、血行不良や筋肉の緊張を引き起こします。結果、椎間板への栄養供給が不足し、症状が悪化しやすくなります。
デスクワークなどの際は、1時間ごとに立ち上がってストレッチをしたり、軽い運動をしたりするなどの工夫を取り入れましょう。こまめに動くことで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。座っている際には、正しい姿勢を意識することも重要です。背筋を伸ばし、骨盤を立てた姿勢を保つことで、椎間板への負担を軽減できます。
猫背などの悪い姿勢をとる
猫背などの悪い姿勢は、椎間板に負担をかけ、ヘルニアを悪化させる可能性があります。立つ、座るなどの簡単な動作でも、猫背で行うことで椎間板への圧力が増加するため注意が必要です。
背筋を伸ばした正しい姿勢を維持することで、椎間板への負担を軽減し、症状の悪化を防げます。長時間のデスクワークなどでは、こまめに姿勢を正すことを意識することで、長時間の作業による負担を軽減できます。立っているときは、お腹に力を入れて、背筋を伸ばすように心がけましょう。
喫煙する
喫煙は、椎間板への血流を悪化させ、組織の修復を妨げるため、椎間板ヘルニアの症状を悪化させる要因の一つです。ニコチンは血管を収縮させる作用があり、椎間板への血流を阻害します。結果、椎間板への酸素や栄養の供給が不足し、組織の修復が遅れ、症状の悪化につながります。
椎間板ヘルニアを悪化させないために、禁煙を目指しましょう。禁煙は、椎間板ヘルニアの改善だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。椎間板ヘルニアの悪化を防ぐには、日常生活における姿勢や行動に気を配ることが重要です。
NG行動を避け、適切な対策を行うことで、症状の悪化を防ぎ、より快適な生活を送ることができます。
椎間板ヘルニアの症状を悪化させないための対策4選
椎間板ヘルニアの症状を悪化させないために、効果が期待できる対策は以下のとおりです。
- 適度な運動
- 正しい姿勢
- 柔軟性を高めるストレッチ
- 痛みがある場合の安静
適度な運動
椎間板ヘルニアだからといって、全く運動をしないのはかえって逆効果です。適度な運動は、筋肉を鍛えて血行を促進し、椎間板への負担を軽減するのに役立ちます。ウォーキングや水中ウォーキングなど、腰に負担の少ない有酸素運動がおすすめです。毎日続けることで、症状の改善や再発予防につながります。
痛みがある場合は、運動の種類や強度、時間などを調整しましょう。ウォーキングであれば、最初は10分程度から始め、徐々に時間を延ばします。水中ウォーキングは、水の浮力によって腰への負担が軽減されるため、痛みがある方でも比較的安全に行えます。
激しい運動や腰をひねる、急に曲げるなどの動作は避けましょう。ランニングやジャンプ、重い物を持ち上げるといった運動は、椎間板に大きな負担をかけるため、症状を悪化させる可能性があります。ジョギングや重量挙げといった、腰に負担をかける活動も避けてください。
正しい姿勢
正しい姿勢を保つことも椎間板ヘルニアを悪化させないために重要です。日常生活での姿勢は、椎間板ヘルニアの症状に大きく影響します。デスクワークや長時間の運転など、同じ姿勢を続けることが多い方は特に注意が必要です。
正しい姿勢を保つためには、背筋を伸ばし、お腹に軽く力を入れることを意識しましょう。椅子に座るときは、浅く座らず、深く腰掛けて背もたれに寄りかかりましょう。立っている際も、お腹に力を入れて背筋を伸ばしてください。
長時間同じ姿勢を続けるのも良くありません。1時間に1回は立ち上がって身体を動かしたり、ストレッチをしたりするなど、こまめな休憩を挟むようにしましょう。
柔軟性を高めるストレッチ
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進し、椎間板への負担を軽減する効果があります。間違ったストレッチは逆に症状を悪化させる可能性があるので、注意が必要です。
椎間板ヘルニアに効果的なストレッチとして、太ももの裏側やお尻の筋肉を伸ばすストレッチなどがあります。腰をひねったり、無理に前屈したりするストレッチは、椎間板に負担をかけるため避けてください。
ストレッチを行う際は、痛みを感じない範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。痛みを感じたら、すぐに中止してください。入浴後など身体が温まっているときに行うと、身体を伸ばしやすくなります。
痛みがある場合の安静
椎間板ヘルニアの症状が悪化し、強い痛みやしびれがある場合は、無理に動かず安静にすることが大切です。安静にすることで、炎症を抑え、痛みの軽減が期待できます。
長期間の安静は、筋肉の衰えや血行不良につながるため、逆効果になる場合があります。痛みが強いときは安静にし、痛みが落ち着いてきたら、少しずつ身体を動かしましょう。
痛みがあるときは、患部を冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。痛みが強い場合は、医師に相談し、痛み止めなどの薬を処方してもらうのも一つの方法です。自己判断で薬を服用することは避け、必ず医師の指示に従ってください。
椎間板ヘルニアの専門家による治療法3選
椎間板ヘルニアの治療法は以下の3つです。
- 薬物療法
- 理学療法
- 手術療法
薬物療法
薬物療法は、椎間板ヘルニアに伴う痛みや炎症を抑える基本的な治療法です。主に、痛み止めや消炎鎮痛剤、神経の働きを助ける薬などが使用されます。炎症物質の生成を抑えたり、神経の興奮を鎮めたりすることで、痛みやしびれを緩和する場合があります。
痛み止めにはさまざまな種類があり、代表的な薬はロキソプロフェンナトリウム®やアセトアミノフェンなどです。炎症を抑える効果が高いものや胃への負担が少ないものなど、患者さんの状態に合わせて選択します。
消炎鎮痛剤には、ジクロフェナクナトリウム®やインドメタシン®などがあります。痛みや炎症を抑える強い効果が期待できる反面、胃腸障害などの副作用が起こる可能性もあるため、医師の指示に従って服用しましょう。
神経の働きを助ける薬には、プレガバリン®やミロガバリン®などがあります。神経の興奮を抑え、痛みやしびれを軽減する効果が期待できます。他の薬では効果が不十分な場合に用いられることが多いです。
理学療法
理学療法は、身体の機能回復や痛みの軽減を目的とした治療法です。腰や背中の筋肉を鍛えたり、柔軟性を高めたりすることで、椎間板への負担を軽減し、症状の改善を図ります。代表的な理学療法は、牽引療法や温熱療法、運動療法などです。
牽引療法は、椎間板にかかる圧力を軽減することで痛みを和らげる効果があります。牽引によって、椎間板にかかる負担が減少し、神経への圧迫も軽減されます。
温熱療法は、患部を温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる方法です。血行が促進されると、筋肉や神経への酸素供給が向上するため、痛みの軽減につながります。温熱によって筋肉の緊張が和らぎ、柔軟性が向上することで、よりスムーズな動きが可能になる場合があります。
運動療法は、腰や背中の筋肉を鍛え、柔軟性を高める方法です。筋肉が強化されると、椎間板を支える力が強くなり、負担を軽減できます。柔軟性が向上すると、関節の可動域が広がるため、日常生活での動作がスムーズになる効果が期待できます。
手術療法
多くの場合、保存療法で症状が改善しますが、重症の場合や保存療法で効果がない場合は、手術療法が検討されます。手術療法には、内視鏡手術や椎間板摘出術など、さまざまな方法があります。
内視鏡手術は、小さな切開部から内視鏡を挿入し、ヘルニアを起こした椎間板の一部を取り除く手術です。身体への負担が少なく、入院期間も短いというメリットがあります。傷口が小さいため、術後の痛みが少なく、回復も早い傾向があります。
椎間板摘出術は、ヘルニアを起こした椎間板を切開して取り除く手術です。内視鏡手術よりも広い範囲のヘルニアに対応できますが、身体への負担が大きく、入院期間も長くなる傾向があります。
手術療法を選択する際には、それぞれのメリット・デメリットを理解し、医師とよく相談することが重要です。手術にはリスクも伴うため、手術の必要性や種類などについて、医師から十分な説明を受け、納得したうえで手術を受けてください。
まとめ
椎間板ヘルニアを悪化させないためには、以下の行動を避けることが重要です。
- 重いものを持つ
- 激しい運動をする
- 長時間同じ姿勢を続ける
- 猫背などの悪い姿勢をとる
- 喫煙する
適度な運動、正しい姿勢の維持、柔軟性を高めるストレッチなどで症状の悪化を防ぐことができます。痛みがある場合は安静にし、専門家による適切な治療を受けてください。
椎間板ヘルニアの治療には、薬物療法や理学療法、手術療法が用いられます。治療の際は、医師と相談しながら自分に合った方法を選択することが重要です。腰の痛みで悩む場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断・治療を受けましょう。
参考文献
- Basic Research and Transformation Society, Professional Committee of Spine and Spinal Cord, Chinese Association of Rehabilitation Medicine. Guideline for diagnosis, treatment and rehabilitation of lumbar disc herniation. Zhonghua Wai Ke Za Zhi, 2022, 60(5), p.401-408.
- Natasha J Olby, Sarah A Moore, Brigitte Brisson, Joe Fenn, Thomas Flegel, Gregg Kortz, Melissa Lewis, Andrea Tipold. ACVIM consensus statement on diagnosis and management of acute canine thoracolumbar intervertebral disc extrusion. J Vet Intern Med, 2022, 36(5), p.1570-1596.