- 2025年3月22日
椎間板ヘルニア4番5番の特徴的な症状と効果が期待できる治療方法
腰や足に痛みやしびれを感じていませんか?もしかしたら、椎間板ヘルニアかもしれません。特に4番と5番の腰椎の間で起こるヘルニアは、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
この記事では、椎間板ヘルニア4番5番の特徴的な症状と効果が期待できる治療方法について解説します。腰痛でお悩みの方、具体的な症状と治療法を知りたい方は、ぜひ読み進めてみてください。健康管理の参考情報としてお役に立てれば幸いです。
椎間板ヘルニア4番5番の主な症状
椎間板ヘルニア4番5番の主な症状について、以下のとおり解説します。
- 腰部の鈍痛と鋭い痛み
- 下肢のしびれと放散痛
- 運動障害・筋力低下
- 排尿障害
- 慢性的な痛み
腰部の鈍痛と鋭い痛み
腰の痛みは、椎間板ヘルニアで最も一般的と言える症状です。痛みの程度や性質は人それぞれで、鈍い痛みや鋭い痛みなどさまざまです。くしゃみや咳、重いものを持ち上げたとき、長時間同じ姿勢を続けたときなどに痛みが悪化しやすい傾向があります。
腰を反らすと痛みが強まるのも特徴です。飛び出した椎間板が神経を圧迫し、炎症を引き起こしているためです。炎症がひどくなると、安静時でも痛みを感じるようになります。
下肢のしびれと放散痛
腰の痛みだけでなく、お尻から太ももの後ろ側やふくらはぎの外側、足の外側や甲にかけて症状が現れることが多いです。このような症状は「放散痛」と呼ばれます。放散痛が現れる部位は、どの神経が圧迫されているかによって異なります。ピリピリとした痛みやしびれを感じることもあります。
ヘルニアによって坐骨神経が圧迫されることによって起こります。
運動障害・筋力低下
ヘルニアによって神経の伝達機能が阻害されると、足に力が入りにくくなり、動きが悪くなる運動障害が起こる可能性があります。つま先立ちやかかと立ちが難しくなったり、つまずきやすくなったり、歩行が困難になるなどの症状が現れることがあります。
L4-L5椎間板ヘルニアでは、足の伸展や足首の背屈に関連する筋肉が影響を受けやすく、歩行障害や転倒のリスクが高まります。
排尿障害
重症の場合、まれに排尿障害が起こることがあります。尿が出にくい、残尿感がある、尿漏れなどの排尿に関するトラブルです。ヘルニアが膀胱や排尿に関わる神経を圧迫することで起こります。
医学的には「膀胱直腸障害」と呼ばれ、排尿・排便機能の低下や性機能障害を伴うこともあります。症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。
慢性的な痛み
椎間板ヘルニアによる痛みは、急性期には強い痛みを感じることもありますが、慢性化すると鈍い痛みが持続することがあります。慢性的な痛みには、薬物療法やリハビリテーションなど、長期的な治療が必要になることがあります。
硬膜内腰椎椎間板ヘルニアのように、まれなケースでは手術が必要となる場合もあります。慢性的な痛みはQOL(生活の質)を著しく低下させるため、痛みを我慢せず、医療機関を受診し適切な治療を受けることが重要です。
椎間板ヘルニア4番5番の診断方法4選
椎間板ヘルニア4番5番の診断方法について、4つ解説します。
- 身体検査
- 画像診断(MRIやCT)
- 神経伝導検査
- 鑑別診断と他疾患との関連
身体検査
医師はあなたの症状について詳しくお話を伺います。「いつから痛みがあるのか」「どんなときに痛むのか」「どのあたりが痛むのか」など、些細なことでも遠慮なくお伝えください。
問診後、身体を動かしたり軽く叩いたりするなど、いくつかの検査を行います。神経が圧迫されているかどうか、どの神経が影響を受けているのかなどを調べます。検査項目については、以下の表のとおりです。
検査項目 | チェックポイント | 4番5番ヘルニアで想定される所見 |
姿勢の確認 | 猫背になっていないか、左右のバランスはどうか | 痛みによって姿勢が歪んでいる可能性があります。 |
脊柱の可動域 | 前かがみや後ろ反らしで、どのくらい動かせるか | 痛みのため、動きが制限されることがあります。特に腰を反らすと痛みが強まることが多いです。 |
下肢の筋力 | 足の力はあるか、左右差はないか | ヘルニアによって神経が圧迫されると、足の力が入りにくくなることがあります。特に、つま先立ちやかかと立ちが難しくなります。 |
感覚の確認 | 足の感覚は正常か、しびれや違和感はないか | 太ももの前や外側、ふくらはぎなどに、しびれや感覚の鈍さを感じることがあります。 |
反射の確認 | 膝蓋腱反射やアキレス腱反射など | 反射が弱くなったり、消失したりすることがあります。 |
画像診断(MRIやCT)
身体検査である程度の診断はできますが、ヘルニアの状態をより正確に把握するために、画像診断が欠かせません。MRI検査では、椎間板の状態を鮮明に映し出すことができます。ヘルニアの大きさや場所、神経への圧迫具合などが詳細にわかります。CT検査は、骨の状態を詳しく調べるのに役立ちます。
68歳男性の症例報告では、3年間の腰痛や下肢の痛みやしびれに加えて、排尿障害も認められました。MRI検査でL4-L5椎間板ヘルニアと診断されましたが、手術中の所見は術前の画像診断と一致せず、硬膜内にはごくわずかな椎間板断片しか認められませんでした。
最終的に、硬膜内腰椎椎間板ヘルニアと診断され、手術によって症状は改善しました。画像診断は重要ですが、必ずしも術中の所見と一致するとは限らないため、他の検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。
神経伝導検査
神経伝導検査は、神経が正しく信号を送れているかを調べる検査です。電気刺激を使って神経の伝わる速さを測定することで、神経の損傷の程度を客観的に評価できます。検査は、ヘルニアによる神経圧迫の程度をより正確に把握でき、適切な治療方針を決定するのに役立ちます。
鑑別診断と他疾患との関連
腰痛や足の痛みやしびれは、椎間板ヘルニア以外にもさまざまな原因が考えられます。脊柱管狭窄症や腰椎すべり症、梨状筋症候群などです。椎間板ヘルニアと似たような症状が現れることがあります。
前述の68歳男性の症例のように、手術前画像所見と術中所見が一致しない場合は、硬膜内腰椎椎間板ヘルニアを疑うべきだとする報告もあります。硬膜とは、脳や脊髄を包む膜のことです。通常、椎間板ヘルニアは硬膜の外側ですが、まれに硬膜の内側で起こることがあり、硬膜内腰椎椎間板ヘルニアと言います。
さまざまな検査を行い、他の疾患の可能性をきちんと除外していく鑑別診断が重要です。最終的な診断を確定し、最適な治療法を選択するためには、検査結果を総合的に判断する必要があります。
椎間板ヘルニア4番5番の症状緩和が期待できる治療方法
4番5番の椎間板ヘルニアに対する治療方法として、保存療法と手術療法に分けて解説します。
- 保存療法
- 手術療法
保存療法
保存療法は、手術を行わずに薬物療法や理学療法、運動療法などを用いてヘルニアの症状を改善する方法です。主に、椎間板ヘルニア4番5番の初期治療として選択されます。
保存療法は身体への負担が少ないため、日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を進めることができます。保存療法の具体的な内容は以下のとおりです。
- 薬物療法
痛みや炎症を抑えるために消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。痛みを軽減するだけでなく、炎症を抑えることで神経への刺激を和らげ、症状の改善を促します。 - 理学療法
温熱療法や電気刺激療法、牽引療法などが行われます。温熱療法は、患部の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。電気刺激療法は、痛みを軽減するだけでなく、神経の働きを調整する効果も期待できるとされています。牽引療法は、椎間板にかかる圧力を軽減し、神経の圧迫を和らげる可能性があります。 - 運動療法
ストレッチや筋力トレーニングなどを通して、腰周りの筋肉を強化し、姿勢を改善することで、椎間板への負担を軽減します。腰背部の筋肉を鍛えることで、体幹を安定させ、ヘルニアの再発を予防する効果が期待できます。
治療法を組み合わせ、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てます。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が重篤な場合は、手術療法が検討されます。排尿・排便障害などの膀胱直腸障害を伴う場合や、神経根の麻痺による筋力低下が進行している場合は、手術の適応となることがあります。
手術療法の主な目的は、飛び出した椎間板に圧迫された神経を解放し、痛みやしびれなどの症状を改善することです。代表的な手術方法については以下のとおりです。
- 従来の椎間板摘出術
- 内視鏡を用いた椎間板摘出術
皮膚切開が小さく、筋肉へのダメージが少ないため、術後の痛みが少なく回復も早いです。 - 顕微鏡を用いた椎間板摘出術
より精密な操作が可能となるため、神経を傷つけるリスクを最小限に抑えながら、ヘルニアを摘出できます。
手術療法は、保存療法に比べて症状の改善が早く、根本的な治療につながることもあります。しかし、手術には感染症や出血などのリスクも伴いますので、医師とよく相談し、メリットとデメリットを比較検討したうえで手術を決断する必要があります。
手術後も再発を防ぐために、日常生活での姿勢や動作に気をつけたり、定期的に運動療法を行ったりするなど、継続的なケアが重要です。医師の指示に従い、適切なリハビリテーションを行うことで、よりスムーズな回復と再発予防が期待できます。
早期回復のためのセルフケア
早期回復に役立つセルフケアと生活習慣の改善について、以下の内容を解説します。
- 症状を悪化させない日常動作の工夫
- 椎間板への負担を軽減する姿勢と動作
- 腰を支えるための筋力トレーニング
- 栄養バランスの良い食事
- 十分な睡眠
症状を悪化させない日常動作の工夫
日常生活の動作の中で、無意識に腰に負担をかけていることが少なくありません。特に椎間板ヘルニアを発症している場合は、症状を悪化させる引き金になる可能性があります。代表的な日常動作の工夫については、以下のとおりです。
- 重い荷物を持ち上げる際
腰を曲げて持ち上げることは椎間板に大きな負担をかけ、ヘルニアを悪化させるリスクがあります。適切な持ち上げ方としては、膝を曲げて腰を落とした姿勢を保ち、荷物に近い位置で持ち上げることが重要です。腹筋に力を入れて体幹を安定させることで、腰への負担を軽減できます。 - 床に落ちている物を拾う際
腰を曲げて拾うと、椎間板に大きな圧力がかかります。膝を曲げてしゃがみ込む姿勢で拾うように心がけましょう。 - 立ち上がる際
勢いよく立ち上がると腰に負担がかかります。ゆっくりと、身体を支えながら立ち上がりましょう。 - くしゃみや咳をする際
咄嗟の動作で腰を痛めることがあります。お腹に力を入れて腰を支えるように意識することで、急激な負担を軽減できます。
椎間板への負担を軽減する姿勢と動作
椎間板ヘルニアの症状を悪化させないためには、正しい姿勢を維持することも重要です。立っているときは、背筋を伸ばし、あごを引いて、お腹に軽く力を入れるように意識しましょう。猫背は腰への負担を増大させるため、注意が必要です。
座っているときは、浅く腰掛けると腰椎への負担が大きくなってしまいます。深く腰掛け、背もたれに寄りかかるようにしましょう。デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、1時間ごとに立ち上がって軽いストレッチをする、姿勢を変えるなど、こまめな休憩を挟むことが大切です。
睡眠時の姿勢も重要です。仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや枕を挟むと腰の自然な湾曲を保ち、負担を軽減できます。横向きで寝る場合は、膝を軽く曲げ、抱き枕を抱えることで、身体のバランスを保ち、腰への負担を軽減できます。
腰を支えるための筋力トレーニング
腰痛の予防・改善には、腰を支える筋肉を鍛えることが不可欠です。腹筋と背筋は体幹を支える重要な筋肉であり、強化することで、腰への負担を軽減し、姿勢を安定させることができます。
腹筋を鍛えるには、クランチやレッグレイズなど、さまざまなエクササイズがあります。自分に合った方法を選び、無理のない範囲で続けましょう。背筋を鍛えるには、バックエクステンションやデッドリフトなどが有効です。腰背部の筋肉を強化し、姿勢の改善に役立ちます。
ウォーキングや水泳などの有酸素運動も、腰痛改善に効果的です。ウォーキングは、全身の血行を促進し、筋肉を活性化させる効果が期待できます。水泳は、浮力によって腰への負担を軽減しながら、全身の筋肉を鍛えることができます。無理のない範囲で、継続して行うことが重要です。
栄養バランスの良い食事
椎間板ヘルニアからの回復を促進するためには、栄養バランスの良い食事が欠かせません。私たちの身体は、食事から摂取した栄養素を利用して、損傷した組織を修復し、新しい細胞を作り出しています。
タンパク質は筋肉や骨、椎間板などの組織の構成成分となるため、積極的に摂取することが重要です。肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれています。ビタミンやミネラルも、身体の機能を維持するために欠かせない栄養素です。ビタミンCはコラーゲンの生成を促進し、椎間板の健康維持に役立ちます。
カルシウムは骨の形成に必要不可欠な栄養素です。果物や野菜、海藻類などをバランスよく摂取することで、必要なビタミンやミネラルを補給できます。
十分な睡眠
質の高い睡眠も、身体の回復力を高めるうえで重要です。睡眠中には、成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や再生が促進されます。睡眠は疲労回復にも効果を期待できます。毎日同じ時間に寝起きし、規則正しい生活リズムを維持することで、質の高い睡眠を得ることができます。
適切なセルフケアと生活習慣の改善は、椎間板ヘルニアの症状管理に役立つ可能性があります。ただし、ご紹介した情報は一般的なものであり、すべての方に当てはまるわけではありません。症状が改善しない場合や悪化した場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医の指示に従うようにしてください。
まとめ
椎間板ヘルニア4番5番の主な症状として、腰痛や下肢のしびれ、運動障害・筋力低下、排尿障害、慢性的な痛みがあります。身体検査や画像診断、神経伝導検査などを通して、椎間板ヘルニアの有無や程度、他の疾患との鑑別診断が行われます。
診断結果にもとづき、保存療法(薬物療法や理学療法、運動療法など)や手術療法といった最適な治療戦略が選択されます。日常生活での姿勢や動作に気を配り、セルフケアを実践することも重要です。
椎間板ヘルニアは、早期の診断と適切な治療、セルフケアによって、症状の改善が期待できるとされています。少しでも気になる症状がある場合は医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。
参考文献
Chao-Yuan Ge, Ding-Jun Hao, Liang Yan, Le-Qun Shan, Qin-Peng Zhao, Bao-Rong He, Hao Hui. Intradural Lumbar Disc Herniation: A Case Report and Literature Review. Clinical Interventions in Aging, 2019 Dec 23;14:2295-2299.