- 2025年10月12日
五十肩のリハビリ方法を理学療法士が解説!

「肩が痛くて腕が上がらない…」五十肩のつらい症状に、一日も早く治したいと焦っていませんか?しかし、その焦りから始めた自己流のリハビリが、かえって回復を妨げているとしたら…?実は、五十肩のリハビリで最も危険なのは、症状の時期を見誤ることなのです。
五十肩には「急性期」「慢性期」「回復期」という明確な3つのステージがあり、やってはいけないこと、やるべきことが全く異なります。間違ったケアは炎症を悪化させ、完治まで2年以上かかる原因にもなりかねません。
この記事では、リハビリの専門家である理学療法士が、あなたの症状が今どの時期にあるのかを見極め、自宅でできる安全かつ効果的な体操を徹底解説します。正しい知識で、つらい痛みから解放されるための一歩を踏み出しましょう。
五十肩リハビリを始める前に知るべき3つのこと
五十肩のつらい痛みや動きの制限は、日常生活に大きな影響を与えます。 一刻も早く治したいと焦る気持ちから、自己流で体操を始める方もいます。
しかし、五十肩のリハビリは症状の時期に合わせた正しい方法が不可欠です。 時期を見誤ったリハビリは、かえって炎症を悪化させ回復を遅らせます。 効果的で安全なリハビリのためには、まずご自身の肩の状態を知りましょう。
ここでは、リハビリを始める前に知っておくべき3つの重要点について、 現場の医師の視点から、より詳しく具体的に解説します。

症状の3つの時期(急性期・慢性期・回復期)と特徴
五十肩の症状は、病気の進行度によって大きく3つの時期に分けられます。 それぞれの時期で痛みの性質や肩の状態が異なるため、対処法も変わります。 ご自身の症状がどの時期にあたるのかを把握することが、治療の第一歩です。
時期 | 別名 | 主な症状 | 対処のポイント | 期間の目安 |
---|---|---|---|---|
急性期 | 炎症期 | ・何もしなくてもズキズキ痛む(安静時痛) ・夜中に痛みで目が覚める(夜間痛) ・動かすと激痛が走る |
安静が第一です。無理に動かさず、痛みが強い場合は冷やします。 | 2週間〜1ヶ月程度 |
慢性期 | 拘縮期(こうしゅくき) | ・激しい痛みは和らぐ ・肩関節が固まり、動きの範囲が狭くなる(拘縮) ・「髪をとかす」「服を着る」などの動作が困難になる |
肩を温めて血行を促し、痛みを感じない範囲で少しずつ動かし始めます。 | 数ヶ月〜半年程度 |
回復期 | ・痛みはほとんどなくなる ・固まっていた肩の動きが徐々に改善してくる |
動きの範囲をさらに広げ、筋力を回復させるための積極的なリハビリを行います。 | 半年〜1年以上 |
拘縮(こうしゅく)とは 関節を包む袋(関節包)やその周りの組織が硬くなり、 関節の動きが悪くなってしまう状態のことです。
五十肩の経過には個人差が大きく、全体で1年から2年かかることもあります。 焦らず、ご自身の肩の状態に合わせたケアを根気よく続けることが大切です。
急性期の痛みには安静第一、無理に動かすのは禁物
「動かさないと、もっと肩が固まってしまうのでは?」と心配になりますよね。 しかし、痛みを我慢して動かすことは、急性期においては絶対に避けるべきです。
急性期は、肩の関節内部で強い炎症が起きている状態です。 この時期に無理に動かすと、炎症をさらに広げ、痛みを長引かせる原因となります。 この時期に最も重要な治療は、炎症を鎮めるための「安静」です。
急性期を乗り切るためのポイント
- 痛みを誘発する動きを避ける 腕を肩より高く上げる、重い荷物を持つ、 痛い方の腕を下にして寝るなどの動作は控えましょう。
- 夜の痛みを和らげる工夫をする
夜間痛で眠れない場合は、寝る姿勢を工夫すると痛みが和らぐことがあります。
- 仰向けで寝る場合 痛い方の腕の下に、折りたたんだバスタオルやクッションを敷きます。 少し腕を高くすることで、肩関節への負担が軽くなります。
- 横向きで寝る場合 痛い方の肩を上にし、抱き枕などを抱えるようにすると肩が安定します。
- 痛みが強い場合は冷やす ズキズキと熱を持つような強い痛みがある場合は、 アイスパックなどで15分程度冷やすと、炎症が和らぐことがあります。
急性期は積極的に治す時期ではなく、悪化させないための大切な期間です。 焦る気持ちを抑え、まずは肩をしっかり休ませることに専念してください。
腱板断裂との見分け方と自己判断の危険性
「肩が痛くて上がらない」という症状は、五十肩とよく似た別の病気、 「腱板断裂(けんばんだんれつ)」でも起こります。
腱板断裂は、肩を動かすための重要なインナーマッスル(腱)が切れた状態です。 五十肩とは原因も治療法も異なるため、正確な診断が非常に重要です。
項目 | 五十肩(肩関節周囲炎) | 腱板断裂 |
---|---|---|
腕の動き | 痛みや関節の固さ(拘縮)が原因です。 自分でも上げられず、他人に手伝ってもらっても上がらないことが多いです。 |
腱が切れて力が伝わらないことが原因です。 自分では上がらないが、他人に支えてもらうと上がることがあります。 |
原因 | 関節を包む袋(関節包)に炎症が起き、組織が硬くなることで発症します。はっきりした原因がないことも多いです。 | 転倒などのケガや、加齢によって腱がすり減ることが原因で起こります。 |
治療 | 安静、薬物療法、リハビリテーションが中心となります。 | 保存療法で改善しない場合や、断裂が大きい場合は手術が必要になることもあります。 |
これらの違いはあくまで一般的な目安であり、ご自身で見分けることは困難です。 もし腱板断裂を五十肩だと思い込み、無理な体操を続けるとどうなるでしょうか。 最悪の場合、切れた腱がさらに広がり、手術が必要になる可能性もあります。
肩の痛みや動きの制限を感じたら、自己判断は絶対に避けてください。 まずは必ず整形外科を受診し、医師による正確な診断を受けることが、 適切な治療への最も確実な近道です。
【動画で解説】自宅でできる五十肩改善体操5選
五十肩の激しい痛みが和らいでくる慢性期は、リハビリを開始する大切な時期です。 この時期に肩を動かさないままでいると、関節を包む袋(関節包)が硬くなります。 その結果、関節の動きが著しく制限される「拘縮(こうしゅく)」という状態に陥ります。
拘縮が一度完成してしまうと、改善にはさらに長い時間が必要になることも少なくありません。 そうならないためにも、痛みが落ち着いたら、無理のない範囲で動かし始めることが重要です。
ここではご自宅で安全にできる体操を5つご紹介します。 動画で正しい動きを確認しながら、焦らずご自身の肩の状態に合わせて実践してください。 日々のリハビリが、スムーズな回復への着実な一歩となります。

【慢性期】固まった肩を優しく動かす振り子運動(コッドマン体操)
慢性期のリハビリは、まずこの「振り子運動」から始めるのが基本です。 腕の重みを利用して、肩関節の隙間をわずかに広げることを目的とします。 これにより関節内の圧力が下がり、固まった組織が優しく伸ばされます。
力を入れて腕を動かすのではなく、リラックスして重力に任せるのがポイントです。 お風呂上がりなど、体が温まって筋肉がほぐれている時に行うとより効果的です。
【準備するもの】
- 体を支えるための、安定した机や椅子の背もたれ
【体操の手順】
- 痛くない方の手で机などをしっかりと支え、軽くお辞儀をします。
- 痛い方の腕の力を完全に抜き、床に向かってだらんと垂らしてください。
- 腕の重みを利用し、体を小さく揺らすことで腕を前後に10回振ります。
- 次に、同じように体を揺らしながら、腕を左右に10回振ります。
- 最後に、小さな円を描くように、時計回りと反時計回りに各10回ずつ回します。
【医師からのアドバイス】
- 腕の力で無理に振ろうとすると、かえって肩に負担がかかります。 体の揺れと重力で、腕が自然に揺れる感覚を意識してください。
- 痛みやしびれを感じる場合は、動きの幅を小さくするか、中止しましょう。
- 前かがみの姿勢で、めまいを感じる場合は無理せず休憩してください。
【慢性期】壁を使って腕の可動域を広げる壁のぼり体操
振り子運動に慣れてきたら、腕を上げる動き(挙上動作)の改善を目指しましょう。 壁を支えに使うことで、自分の力だけでは上がらない腕を安全に動かせます。 「棚の上の物を取る」「髪を洗う」といった動作の改善につながる体操です。
痛みを感じる一歩手前の、「少しつっぱるけれど気持ちいい」範囲で行いましょう。 毎日少しずつでも可動域が広がっていくのを実感できるはずです。
【準備するもの】
- 滑らかな壁
【体操の手順】
- 壁に向き合い、腕を伸ばして指先がつくくらいの距離(約30cm)に立ちます。
- 痛い方の腕の指先を、肩の高さあたりの壁につけます。
- 指をゆっくりと壁に這わせるように、少しずつ上に動かしていきます。
- 痛みを感じる直前の、伸びていると感じる高さで止め、10秒間深呼吸します。
- 上げた時と同じように、ゆっくりと壁を伝いながら腕を下ろします。
- この一連の動きを、5回から10回ほど繰り返してください。
【医師からのアドバイス】
- 腕を上げる時に、肩をすくめたり体を反らしたりしないよう注意しましょう。 鏡を見ながら行うと、正しいフォームを確認しやすくなります。
- 壁に対して正面だけでなく、少し斜めに立って行うと、 上がる角度が変わり、より楽にできる場合があります。
【回復期】背中に手を回す動きを改善する結帯動作訓練
回復期に入ると、日常生活の多くの場面で腕を後ろに回す動きが必要になります。 「下着のホックを留める」「エプロンの紐を結ぶ」といった動作を結帯動作と呼びます。 この動きは五十肩で最後まで制限が残りやすい動作の一つです。
この訓練では、タオルを使って痛くない方の腕で動きを補助します。 これにより、痛い方の腕に無理な負担をかけずに可動域を広げることができます。
【準備するもの】
- 少し長めのタオル
【体操の手順】
- 楽な姿勢で立ち、背筋を伸ばします。
- 痛くない方の手でタオルの端を持ち、肩の上から背中側へ垂らします。
- 痛い方の手で、腰のあたりからもう一方のタオルの端を握ります。
- 痛くない方の腕で、ゆっくりとタオルを斜め上方向に引き上げます。
- 痛い方の腕が気持ちよく伸びる位置で10秒間保持します。
- ゆっくりと元の位置に戻し、この動きを5回から10回繰り返します。
【医師からのアドバイス】
- 痛い方の腕はあくまでサポートされる側です。できるだけ力を抜きましょう。
- タオルを上げる際に、体が傾いたり腰が反ったりしないように意識してください。 体幹はまっすぐに保ったまま、肩関節の動きを意識することが大切です。
【回復期】ゴムチューブを使ったインナーマッスルの強化
痛みも動きの制限もかなり改善してきた回復期には、筋力強化が重要です。 特に、肩関節を安定させる役割を持つインナーマッスル(腱板)を鍛えましょう。 筋力を回復させることで、肩の動きがスムーズになり、再発予防にもつながります。
ゴムチューブを使うことで、筋肉に適切な負荷をかけながら安全に鍛えられます。 最初は負荷の軽いチューブから始め、徐々に慣らしていくことが大切です。
【準備するもの】
- トレーニング用のゴムチューブやセラバンド
【体操の手順(腕を外にひねる運動:外旋)】
- 脇をしっかり締め、痛い方の肘を90度に曲げます。
- 痛い方の手でチューブの端を握り、もう一方はお腹の前で固定します。 ドアノブなどに引っ掛けても構いません。
- 脇と肘の位置を動かさないように固定したまま、腕をゆっくり外側に開きます。
- 無理のない範囲まで開いたら、ゆっくりと元の位置に戻します。
- この動きを10回繰り返しましょう。
【医師からのアドバイス】
- この運動で最も重要なのは、脇を締めて肘を体に固定することです。 脇が開くと、鍛えたいインナーマッスルに効きにくくなります。
- 反動をつけず、筋肉の収縮を意識しながらゆっくりと行ってください。
体操を行う頻度と時間、痛みを感じた際の注意点
五十肩のリハビリで最も大切なのは「継続」することです。 一度に長時間行うよりも、短時間でも毎日続ける方がはるかに効果的です。 ご自身の生活リズムに合わせて、無理なく習慣化していきましょう。
【体操の頻度と時間の目安】
項目 | 目安 |
---|---|
1日に行う回数 | 朝と晩の2〜3回 |
1種目あたりの回数 | 5〜10回 |
1回あたりの合計時間 | 5分〜10分程度 |
【痛みを感じた際の注意点チェックリスト】 安全にリハビリを進めるために、体操中に痛みを感じたら以下の点を確認してください。
- 体操後にまで痛みが残っていませんか? 体操中の一時的な痛みではなく、終わった後も続く痛みは炎症のサインです。 その体操は中止し、医師に相談してください。
- 鋭い痛みやズキッとする痛みはありませんか? 「イタ気持ちいい」と感じる筋肉が伸びる感覚は問題ありません。 しかし、関節に走る鋭い痛みは危険信号です。すぐに動きを止めましょう。
- 呼吸を止めていませんか? 呼吸を止めると体に力が入り、筋肉が緊張してしまいます。 常にゆっくりとした自然な呼吸を意識してください。
- 反動をつけて動かしていませんか? 勢いをつけて動かすと、筋肉や関節を痛める原因になります。 すべての動きは、ゆっくりとコントロールしながら行いましょう。
もし痛みが強くなる、または数週間続けても改善が見られない場合は、 自己判断でリハビリを続けず、必ずかかりつけの医師や理学療法士にご相談ください。
五十肩リハビリの効果とよくある4つの質問
五十肩の痛みが続くと、「このリハビリは本当に効果があるのか」と不安になりますよね。 また、「いつまでこのつらい状態が続くのだろう」と先が見えない気持ちにもなるでしょう。
リハビリは時に地道で、すぐに結果が出ないこともあり、つらく感じるかもしれません。 しかし、正しい知識を持って根気強く取り組むことで、着実に回復へ向かうことができます。
ここでは、患者さんからよくいただく4つの質問にお答えする形で解説を進めます。 皆様の不安を少しでも和らげ、安心して治療に取り組むための一助となれば幸いです。

病院で行う理学療法(徒手療法・物理療法)の内容
ご自宅での体操も大切ですが、それだけでは改善が難しい部分もあります。 病院やクリニックでは、国家資格を持つ理学療法士が専門的なリハビリを行います。 これは大きく「徒手療法」と「物理療法」の2つに分けられます。
1. 徒手療法(としゅりょうほう) 理学療法士が、その手を使って関節の動きや筋肉の状態を改善させる治療法です。 機械ではできない、一人ひとりの肩の状態に合わせた繊細な調整が可能です。
- 関節モビライゼーション 固まった肩関節に対し、理学療法士が手で細かく、かつ優しい力を加えます。 これにより、自分では動かせない範囲の関節の「遊び」を引き出します。 関節の滑らかな動きを取り戻し、可動域を広げていくことを目指します。
- ストレッチ 硬くなった筋肉や関節を包む袋(関節包)を、最も効果的な角度で伸ばします。 自分では伸ばしにくい肩甲骨周りの筋肉などにも的確にアプローチできます。
2. 物理療法(ぶつりりょうほう) 熱や電気、超音波などの物理的なエネルギーを利用して治療を補助する方法です。 徒手療法や運動の前に受けることで、リハビリの効果を高める目的があります。
物理療法の種類 | 目的・効果 |
---|---|
温熱療法 | ホットパックなどで肩周りを温め、血行を促進し筋肉の緊張を和らげます。 組織が柔らかくなるため、その後のストレッチなどの効果が高まります。 |
超音波療法 | 人の耳には聞こえないほどの細かい音の振動を利用する治療法です。 体の深い部分まで温め、痛みを和らげる効果が期待できます。 |
電気刺激療法 | 皮膚に当てた電極から弱い電気を流します。 痛みを脳に伝える神経の働きをブロックしたり、筋肉の緊張をほぐしたりします。 |
これらの専門的なリハビリとご自宅でのセルフケアを組み合わせることが大切です。 二人三脚で、より効果的に症状の改善を目指していきましょう。
リハビリの効果はいつから?完治までの期間の目安
「いつになったら楽になるのか」というのは、患者さんにとって最も切実な疑問です。 リハビリの効果や完治までの期間は、症状の時期や重症度によって大きく異なります。
五十肩の回復過程は、大きく3つの時期に分けられ、それぞれ目標が異なります。
- 急性期(発症〜数週間) 炎症が最も強く、安静にしていても痛む時期です。 この時期のリハビリの目的は「悪化させないこと」です。 そのため、効果を実感しにくいかもしれませんが、非常に重要な期間です。
- 慢性期(数週間〜数ヶ月) 激しい痛みは和らぎますが、肩が固まって動きにくくなる(拘縮)時期です。 この時期から、固まった関節の可動域を広げるリハビリが本格化します。 「昨日より腕が少し上がる」など、少しずつ効果を実感できるようになります。
- 回復期(数ヶ月〜1年以上) 痛みも動きの制限もかなり改善してくる時期です。 日常生活での不便は減りますが、ここでリハビリを中断しないことが重要です。 筋力を回復させ、再発を予防するための運動を継続します。
五十肩の回復には、全体で半年から2年程度かかることも決して珍しくありません。 特に糖尿病などの持病がある方は、回復が長引く傾向にあることも報告されています。 焦る気持ちは回復を妨げることもあります。根気強く治療を続けることが大切です。
痛み止めやステロイド注射とリハビリを併用する効果
「痛いのに無理やり動かすなんてつらい」と感じるのは当然のことです。 特に痛みが強い時期には、薬や注射をリハビリと組み合わせることが非常に有効です。
五十肩の痛みの主な原因は、関節内部で起きている「炎症」です。 痛み止め(内服薬や湿布)やステロイド注射は、この炎症を強力に抑えます。 痛みを我慢しながらのリハビリは、多くのデメリットを生み出します。
- 無意識に体に力が入り、かえって筋肉を緊張させてしまう
- 痛みへの恐怖心から、肩を動かすこと自体が怖くなってしまう
- 痛みを避ける不自然な体の使い方を覚え、別の不調を招く
薬や注射で痛みを適切にコントロールすることで、以下のような良い循環が生まれます。
- 痛みが和らぐ → 痛みへの不安や恐怖心が減り、心に余裕が生まれます。
- リラックスしてリハビリに取り組める → より効果的に関節を動かし、筋肉を伸ばすことができます。
- リハビリがスムーズに進む → 関節が固まる「拘縮」の進行を防ぎ、結果的に回復を早めます。
痛み止めや注射は、つらいリハビリを乗り越えるための大切なお守りです。 痛みが強い場合は決して我慢せず、医師に相談しながら上手に活用していきましょう。
リハビリ中に痛みが強くなった場合の正しい対処法
良かれと思って続けているリハビリで、かえって痛みが強くなると不安になりますよね。 もし痛みが増した場合は、自己判断で続けず、正しく対処することが何より重要です。
まず、リハビリ中の「良い痛み」と「悪い痛み」を見分けることが大切です。
- 良い痛み 筋肉が心地よく伸ばされていると感じる「イタ気持ちいい」感覚。
- 悪い痛み 関節の奥で「ズキッ」「ピリッ」と走るような鋭い痛み。
もし悪い痛みを感じた場合は、以下の手順で対処してください。
ステップ1:すぐにリハビリを中止する 「このくらい大丈夫」と無理に続けると、炎症を悪化させる原因になります。 痛みを感じた運動は、すぐにやめましょう。
ステップ2:患部を冷やす(アイシング) リハビリ後に肩が熱っぽい、ズキズキ痛む場合は炎症のサインです。 氷のうや保冷剤をタオルで包み、15分程度、痛む部分を冷やしてください。
ステップ3:安静にする 痛みが落ち着くまでは、肩に負担がかかる家事や仕事は避け、安静を保ちましょう。
ステップ4:医師や理学療法士に相談する 痛みが続く場合や、リハビリの方法に不安がある場合は、必ず専門家にご相談ください。 痛みの原因を評価し、今のあなたの状態に合った内容に調整することが大切です。
【こんな痛みは要注意のサイン】
- 体操中に、毎回同じ動きで鋭い痛みが走る
- 体操をした後、ズキズキする痛みが数時間も続く
- 夜、痛みで目が覚める回数が以前より増えた
リハビリは、痛みを我慢して行う苦行ではありません。 ご自身の体と対話しながら、無理なく続けることが回復への一番の近道です。
まとめ
今回は、五十肩のリハビリについて、症状の時期ごとの注意点やご自宅でできる体操を詳しく解説しました。
つらい痛みが続くと、一刻も早く治したいと焦ってしまいますが、何よりも大切なのは自己判断で無理をしないことです。まずは整形外科を受診し、ご自身の肩が「急性期」「慢性期」「回復期」のどの段階にあるのかを正確に把握しましょう。
その上で、痛みのない範囲で適切なリハビリを根気よく続けることが、固まった肩の動きを取り戻す一番の近道となります。回復には時間がかかることもありますが、一人で抱え込まず、医師や理学療法士と相談しながら、焦らず着実に改善を目指していきましょう。