• 2025年1月22日
  • 2025年3月23日

つらい腱鞘炎の治し方を徹底解説!主な症状や原因、改善方法まで

あなたは今、手や指の痛みで悩んでいませんか? 日常生活で何気なく行う動作が、実は腱鞘炎を引き起こしているかもしれません。 腱鞘炎は、手や指の腱鞘に炎症が起こる疾患で、2023年の厚生労働省の調査によると、患者数は増加傾向にあります。 親指の痛みを伴うドケルバン病、指が引っかかるばね指、しびれや痛みが伴う橈側手根管症候群など、様々な種類があり、症状も多様です。

この記事では、腱鞘炎の種類、主な症状、そしてその原因から発症メカニズム、さらに具体的な治療法や自宅でできる効果的なケアまで、詳しく解説します。 初期症状は軽微な痛みや腫れですが、放置すると日常生活に支障をきたすことも。 手術が必要になるケースもあります。

あなたは、どのタイプの腱鞘炎に該当するのか、また、どのような治療法が最適なのか、この記事を読み進めることで、ご自身の状態を把握し、適切な対処法を見つけることができるでしょう。 手や指の痛みでお困りの方は、ぜひ最後まで読んで、快適な日常生活を取り戻しましょう。

当院では、腱鞘炎の診療を行い、症状に応じた治療法を提案しています。リハビリや運動療法を含めた総合的なケアを提供し、日常生活への影響を最小限に抑えるサポートをしています。詳しい診療内容については、以下の公式サイトをご覧ください。
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腱鞘炎の種類と主な症状4選

腱鞘炎は、手や指の腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネルのような部分に炎症が起きることで、痛みや腫れ、動かしにくさといった症状が現れる疾患です。日常生活で私たちの手や指は、まるで精密機械のように様々な動きをスムーズに行っています。しかし、使いすぎたり、負担がかかりすぎたりすることで、この精巧なシステムに不具合が生じることがあります。腱鞘炎は、まさにこの手や指の酷使によって引き起こされる代表的なトラブルの一つです。

この章では、腱鞘炎の種類と、それに伴う代表的な症状について、具体的にご説明します。早期発見・早期治療のためにも、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

腱鞘炎の代表的な種類とは

腱鞘炎は、炎症が起こる部位や症状によって、いくつかの種類に分けられます。ここでは代表的な3つの種類について詳しく見ていきましょう。

1つ目は「ドケルバン病」です。これは、親指側の腱鞘に炎症が起きる腱鞘炎です。親指を動かしたり、手首を小指側に曲げたりすると痛みが強くなります。例えば、赤ちゃんを抱っこする時や、ビンの蓋を開ける時、スマートフォンの操作など、親指を使う動作で痛みが誘発されます。

2つ目は「ばね指」です。これは、指を曲げ伸ばしする時に、ばねのように引っ掛かったり、急に伸びたりする症状が現れる腱鞘炎です。朝起きた時や、長時間指を動かしていない後に症状が出やすい傾向があります。症状が進むと、指が曲がったまま伸びなくなってしまうこともあります。指が動かなくなる前に適切な処置が必要です。

3つ目は「橈側手根管症候群」です。これは、手首にある正中神経が圧迫されることで起こる腱鞘炎で、親指、人差し指、中指にしびれや痛み、感覚が鈍くなるなどの症状が出ます。特に、夜間や明け方に症状が強くなることが多いです。神経の圧迫による症状なので、チクチクとした痛みやしびれだけでなく、感覚が鈍くなるため、細かい作業がしづらくなることもあります。

腱鞘炎の種類 症状 痛む場所
ドケルバン病 親指を動かすと痛い、手首を小指側に曲げると痛い 親指の付け根
ばね指 指がばねのように動く、指が曲がったまま伸びない 指の付け根、指全体
橈側手根管症候群 親指、人差し指、中指にしびれや痛みがある、感覚が鈍くなる 親指、人差し指、中指

上記以外にも、手首を曲げ伸ばしする際に痛みを感じる「手関節背側腱鞘炎」や、手のひらの付け根に痛みやしびれが現れる「ギヨン管症候群」など、様々な種類の腱鞘炎が存在します。

症状の違いによる診断の重要性

腱鞘炎の症状は、種類によって大きく異なるため、正しい診断を受けることが重要です。自己判断で治療を行うと、症状が悪化したり、他の病気を併発する可能性もあります。例えば、手首の痛みは腱鞘炎だけでなく、骨折や関節リウマチなど、他の疾患が原因である場合もあります。

医療機関を受診すると、医師は、症状や痛む場所、生活習慣などを詳しく聞き取り、触診やレントゲン検査などを行い、正確な診断を下します。ばね指であれば、指の曲げ伸ばしをしてもらいながら診察し、また、患部を触診することで腱の肥厚や腫れなどを確認します。橈側手根管症候群であれば、ティネル徴候やファーレンテストなどの身体診察を行い、神経の圧迫の有無を判断します。

適切な治療を受けるためにも、専門医による診断が不可欠です。

中でも関節リウマチは、腱鞘炎と似た症状を引き起こすことがあり、見極めが非常に重要です。以下の記事では、リウマチを疑った場合に受診すべき診療科や、早期発見の重要性、診断・治療の流れについて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
>>リウマチは何科に行くべき?早期発見の重要性と診断・治療方法を解説

症状の進行に伴う身体への影響

腱鞘炎を放置すると、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。初期症状では、痛みや腫れ、動かしにくさなどの症状が現れますが、症状が進むと、日常生活動作が困難になることもあります。

例えば、ばね指を放置すると、指が曲がったまま伸びなくなり、物を掴む、ボタンをかける、字を書くなどの動作が難しくなります。これは指の腱が炎症を起こし、スムーズに動かなくなってしまうからです。

また、ドケルバン病を放置すると、手首の痛みやしびれが強くなり、家事や育児、仕事にも支障をきたす可能性があります。これは炎症が慢性化し、腱鞘や周囲の組織にまで影響を及ぼしてしまうためです。

腱鞘炎の治療において、装具療法は保存的治療の一つとして有効です。特にばね指の場合、患部を安静に保つために装具を6週間から10週間装着することで、疼痛の軽減と機能改善が期待できます。これは、患指の関節を固定することで、腱と腱鞘への摩擦や刺激を減らし、炎症の悪化を防ぐ効果があるためです。

ステロイド注射も有効な治療法の一つです。1回の注射で効果が見られることもありますが、最大3回までの注射が有効とされています。ただし、ステロイド注射は一時的な効果であるため、根本的な治療には、生活習慣の改善や再発予防策の実践も重要です。

保存的治療で効果が見られない場合は、手術療法が選択肢となります。ばね指に対するA1滑車の開放手術は、現在でも標準的な手術方法とされており、症状の軽減に有効です。

腱鞘炎は、早期に適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

腱鞘炎の原因と発症メカニズム

腱鞘炎は、手や指の腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネルのような部分で腱が炎症を起こし、痛みや腫れ、動かしにくさを引き起こす疾患です。まるで、頻繁に使うドアの蝶番が錆び付いて動きが悪くなるように、腱と腱鞘の摩擦によって炎症が引き起こされます。この炎症は、日常生活で何気なく行っている動作が原因で発症することもあります。放っておくと日常生活に支障をきたすこともあるため、腱鞘炎の原因とメカニズムを理解し、適切な対処をすることが大切です。

様々な原因による腱鞘炎の発症

腱鞘炎の主な原因は、手や指の使い過ぎです。特に、同じ動作を繰り返し行うことで、腱と腱鞘がこすれあい、炎症を起こしやすくなります。

例えば、デスクワークで長時間パソコン作業を行う方、スマートフォンを頻繁に使用する方、ピアノやギターなどの楽器演奏をする方、編み物や裁縫を長時間行う方などは、腱鞘炎のリスクが高まります。

また、特定のスポーツも腱鞘炎のリスクを高める可能性があります。野球のピッチャーであれば肘、テニスプレーヤーであれば手首に負担がかかりやすく、腱鞘炎を発症しやすい傾向があります。その他にも、ゴルフ、バドミントン、バレーボールなども腱鞘炎のリスクを高めるスポーツとして挙げられます。

さらに、妊娠・出産期の女性ホルモンの変化や更年期も腱鞘炎のリスクを高める要因となります。ホルモンバランスの変化により、腱や腱鞘が炎症を起こしやすくなるためです。更年期に腱鞘炎を発症する患者さんも多く、日常生活に支障が出ているケースも少なくありません。

糖尿病、リウマチ、透析患者さんも腱鞘炎のリスクが高いと言われています。これらの疾患は、腱や腱鞘の炎症を引き起こしやすくする可能性があるためです。

生活習慣が腱鞘炎に与える影響

日常生活の何気ない習慣も腱鞘炎の発症に大きく影響します。例えば、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用、重い荷物を持つ、家事や育児での負担など、一見些細な動作の積み重ねが腱鞘炎を引き起こす可能性があります。

また、普段の姿勢も腱鞘炎に関係しています。猫背で作業を続けると、肩や首の筋肉が緊張し、その結果、手首や指への負担が増加し、腱鞘炎のリスクが高まります。良い姿勢を保つことは、腱鞘炎の予防だけでなく、健康全般にとっても重要です。

さらに、過去の研究から、ばね指(トリガーフィンガー)の保存的治療として、患指の関節を6週間から10週間固定することで疼痛が軽減し、症状の改善が見られたという報告があります。これは、患部の安静を保つことで、腱と腱鞘への摩擦や刺激を減らし、炎症の悪化を防ぐ効果があると考えられます。

発症メカニズムの理解

腱鞘炎は、腱とそれを包む腱鞘の間で摩擦が生じることで炎症が起こり、痛みが発生する疾患です。腱は筋肉と骨をつなぐ丈夫な紐のような組織で、腱鞘は腱を包み込み、スムーズな動きを助けるトンネルのような役割を果たしています。

通常、腱は腱鞘の中を滑らかに動きますが、同じ動作を繰り返し行ったり、過度の負担がかかったりすると、腱と腱鞘の間で摩擦が生じ、炎症や腫れが起こります。これが腱鞘炎の主な発症メカニズムです。

また、石灰沈着性腱板炎のように、腱にカルシウムが沈着して炎症を起こすケースもあります。これは、肩の腱板にカルシウムが沈着することで痛みが生じる疾患で、腱鞘炎とは異なる疾患ですが、腱に炎症が生じるという点では共通しています。

初期の腱鞘炎では、安静にすることで症状が改善することがあります。しかし、炎症を放置して重症化すると、安静時にも痛みを感じたり、指の動きが制限されたりするようになります。

腱鞘炎の具体的な治療法と自宅ケア

腱鞘炎の痛みは、日常生活にも支障をきたし、仕事や家事も思うようにできなくなるなど、つらいものです。腱鞘炎には、症状や生活への影響を最小限に抑えるための様々な治療法があります。この章では、腱鞘炎の具体的な治療法と、自宅でできるケア方法について、専門医の立場から詳しくご紹介します。ご自身に合った治療法を見つけるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

保存療法としての理学療法の効果

腱鞘炎の治療は、多くの場合、まず保存療法から始めます。保存療法とは、手術をしない治療法のことです。その中でも、理学療法は腱鞘炎の痛みを軽減し、機能を改善する上で非常に効果的です。理学療法には、ストレッチ、マッサージ、温熱療法、電気刺激療法など、様々な方法があります。これらの治療法は、単独で行うこともありますが、組み合わせて行うことで、より効果を高めることができます。

例えば、ストレッチは、硬くなった筋肉や腱を伸ばすことで、関節の動きをスムーズにします。これは、指の曲げ伸ばし動作が楽になる、というイメージです。マッサージは、血行を促進し、筋肉や腱の緊張を和らげる効果があります。温熱療法は、患部を温めることで、血行を促進し、痛みを和らげます。電気刺激療法は、微弱な電流を流すことで、痛みを軽減し、筋肉の機能を回復させる効果があります。

治療法 効果 具体例
ストレッチ 筋肉や腱を伸ばし、関節の動きをスムーズにする 手首を曲げ伸ばしする、指をそれぞれ曲げ伸ばしする、ゴムボールを握る
マッサージ 血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる 手首や指の付け根を優しくマッサージする、指圧器で指を刺激する
温熱療法 血行を促進し、痛みを和らげる 温かいタオルで患部を温める、温浴する、ホットパックを使用する
電気刺激療法 痛みを軽減し、筋肉の機能を回復させる 理学療法士による電気刺激療法を受ける、家庭用低周波治療器を使用する

これらの理学療法は、症状や痛みの程度に合わせて、適切な方法を組み合わせて行います。

手術療法の選択肢とその適用

ほとんどの腱鞘炎は保存療法で改善します。しかし、痛みが強い場合や、保存療法を3ヶ月以上行っても効果がない場合は、手術療法が検討されます。手術療法には、腱鞘を切開して腱の通り道を広げる方法などがあります。これは、ばね指(トリガーフィンガー)の治療における標準的な手術方法です。最近の研究では、経皮的アプローチと呼ばれる、皮膚に小さな穴を開けて器具を挿入して行う手術方法も試みられていますが、この技術には習熟が必要で、合併症のリスクが高まる可能性も報告されています。

手術療法が必要かどうかは、症状の程度や日常生活への影響などを考慮して、医師が判断します。手術は最終手段であり、必ずしも必要ではありません。手術療法を選択する際には、医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で判断することが大切です。

自宅でできる腱鞘炎のケア方法

腱鞘炎の治療は、病院での治療だけでなく、自宅でのケアも重要です。自宅でできるケアを続けることで、症状の改善を早めたり、再発を予防したりすることができます。

自宅でできるケアとして最も重要なのは、患部を安静にすることです。腱鞘炎は、使いすぎによって炎症が起こるため、安静にすることで炎症が治まりやすくなります。具体的には、患部を動かす作業や動作を控えたり、サポーターなどで固定したりすることが効果的です。

また、温熱療法や冷却療法も効果的です。温熱療法は、血行を促進し、痛みを和らげます。入浴や蒸しタオルなどで患部を温めるのが良いでしょう。冷却療法は、炎症を抑える効果があります。保冷剤や氷水で冷やしたタオルなどを患部に当てて冷やします。痛みが強い場合は、冷却療法を行うと痛みが軽減することがあります。

さらに、ストレッチも効果的です。ストレッチを行うことで、筋肉や腱の柔軟性を高め、関節の動きをスムーズにすることができます。ただし、痛みがある場合は無理に行わず、痛みのない範囲で行うようにしましょう。

ケア方法 効果 具体例
安静 炎症を抑える 患部を動かす作業を控える、サポーターで固定する、パソコン作業の際はリストレストを使用する
温熱療法 血行を促進し、痛みを和らげる 入浴、蒸しタオル、使い捨てカイロ
冷却療法 炎症を抑える 保冷剤、氷水で冷やしたタオル、冷湿布
ストレッチ 筋肉や腱の柔軟性を高める 手首や指のストレッチ、ゴムボールを握る運動

これらのケアは、毎日継続して行うことが大切です。また、症状が改善しても、再発予防のためにケアを続けることをお勧めします。

まとめ

腱鞘炎は、手や指の使いすぎが原因で起こる痛みや腫れなどの症状です。種類によって症状や痛む場所が異なるため、正しい診断が重要です。初期症状は安静で改善することもありますが、重症化すると日常生活に支障をきたす可能性があります。

治療法は、保存療法(理学療法、装具療法、ステロイド注射など)と手術療法があります。保存療法で効果がない場合に手術が検討されます。自宅ケアとしては、安静、温冷療法、ストレッチなどが有効です。

少しでも症状を感じたら、早めに医療機関を受診し、専門医に相談しましょう。早期の適切な治療で、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。 医師の指示に従い、適切な治療と自宅ケアを組み合わせることで、快適な生活を取り戻せるよう、一緒に頑張りましょう。

また、腱鞘炎に限らず、手の痛みや腫れには骨折の可能性もあるため注意が必要です。以下の記事では、整形外科での骨折治療の流れや、保存療法・手術療法の選択肢について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>【医師監修】整形外科での骨折治療の流れ|よくある症状や保存療法・手術療法も解説

参考文献

もり整形外科 079-562-5169 ホームページ