• 2025年3月2日

膝内側の痛みの原因と対策!放置すると悪化する危険な症状

膝の内側に痛みを感じると、歩くたびや階段の上り下り、正座の際に不快感があり、日常生活の質が大きく低下します。研究によれば、日本では40歳以上の約2530万人が変形性膝関節症を患っていると推定されています。

この記事では、膝内側の痛みの原因として代表的な4つの疾患「変形性膝関節症、半月板損傷、内側側副靭帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)、鵞足炎(がそくえん)」を解説します。さらに効果的な対策5選と放置による3つのリスクを紹介します。膝の痛みを年齢のせいと諦めず、正しい知識を身につけて健康な生活を取り戻しましょう。

膝内側の痛みの原因4選

膝内側の痛みの原因は一つではなく、年齢や生活習慣、運動の有無など複数の要因が影響しています。代表的な痛みの原因は、以下の4つです。

  • 変形性膝関節症
  • 半月板損傷
  • 内側側副靭帯損傷
  • 鵞足炎

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接こすれ合うことで炎症や痛みが生じる疾患です。特に加齢によって発症リスクが高まりますが、肥満やO脚、激しいスポーツ、遺伝なども要因となります。

初期症状は、立ち上がりや歩き始めに膝の内側に軽い痛みを感じることです。放置すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。45歳以上で活動時に膝関節痛がある場合は、変形性膝関節症の可能性が高いとされています。症状は個人差があり、医療機関での適切な診断と治療が重要です。

半月板損傷

半月板は大腿骨と脛骨の間にあるC型の軟骨で、膝にかかる衝撃を吸収するクッションの役割を持ちます。スポーツや日常生活での急な動作、転倒などによって損傷することがあります。

若年層では、スポーツ中の激しい動きや急な方向転換などによって損傷するケースが多いです。ジャンプの着地時や、サッカーやバスケットボールで相手と接触した際に起こりやすいです。中高年では、加齢とともに半月板が変性し、ちょっとした動作で損傷してしまうケースもあります。

半月板が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際にカクンと引っかかるような違和感や痛み、膝を動かすとゴリゴリと音が鳴るといった症状が現れます。階段を下りるときや正座をするときに強い痛みを感じることが多いです。

放置すると、膝の痛みが慢性化し、変形性膝関節症のリスクも高まります。適切な治療を受けることが重要です。

内側側副靭帯損傷

内側側副靭帯は膝関節の内側に位置し、膝の安定性を保つ役割を担います。サッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツでの接触や、スキーやスノーボード中の転倒、日常生活での転倒などによって損傷することがあります。

損傷すると、膝の内側に鋭い痛みを感じ、腫れや熱感を伴うことがあります。膝を内側に曲げたり、押したりすると痛みが強くなります。軽度の損傷であれば保存療法で改善しますが、重度の場合は手術が必要になることもあります。

鵞足炎

鵞足炎とは、膝の内側下部に位置する縫工筋や薄筋、半腱様筋という3つの筋肉の腱が付着する部分に炎症が起こる疾患です。ランニングやジャンプなどの繰り返し動作によって発症しやすく、膝の内側下部に痛みを感じます。長時間の歩行や立ち仕事によっても発症することがあります。

膝を押すと痛みが増強し、階段の上り下りでも痛みを感じることがあります。

膝内側の痛みに効果的な対策5選

膝内側の痛みに効果的な対策として、以下の5つをご紹介します。

  • 安静とアイシング
  • ストレッチと筋力トレーニング
  • 薬物療法
  • サポーターや装具の使用
  • 手術療法

安静とアイシング

痛みが出始めたら、何よりも安静が大切です。炎症が悪化し痛みが長引くことを防ぐためです。スポーツや激しい運動の後で痛みが強い場合は、しばらく運動を控えましょう。アイシングも効果的です。炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。

急性外傷後数日間は、アイシングが有用となる場合がありますが、冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があります。アイシングを行う場合は、医師や理学療法士に適切な方法を確認することをおすすめします。

ストレッチと筋力トレーニング

痛みが少し落ち着いてきたら、ストレッチと筋力トレーニングも効果的です。膝周りの筋肉を柔らかくし、筋力を強化することで、膝関節への負担を軽減し、痛みを予防できます。痛みがある場合は、無理に行わず、痛みのない範囲で行ってください。

膝周りの筋肉のストレッチや筋力トレーニングについては、理学療法士等の専門家に相談のうえ、適切な運動方法を選択しましょう。専門家の指導のもと、適切な運動を行うことで、より効果的に痛みを改善し、再発を予防できます。

薬物療法

痛みや炎症が強い場合は、薬物療法も有効な手段です。痛み止めや炎症を抑える薬の服用や湿布薬、軟膏なども効果があります。医師に相談のうえで、適切な治療法を選択することが重要です。適切な治療を受けることで症状が緩和される可能性があります。

サポーターや装具の使用

サポーターや装具を使用することで、膝関節を安定させ、痛みを軽減できます。スポーツをする際にサポーターを着用することで、膝への負担を軽減し、けがの予防にもつながります。装具にはさまざまな種類があります。症状や目的に合わせて適切なものを選ぶために、医師や理学療法士に相談しましょう。

手術療法

保存療法で効果がない場合や、重度の変形性膝関節症などの場合は、手術療法が検討されます。手術には、人工関節置換術や関節鏡視下手術など、さまざまな方法があります。

人工関節置換術は、傷んでしまった関節を人工関節に置換する手術の一つです。変形性膝関節症の場合、すべての保存的治療法を試した後に検討されます。手術の適応については、医師と相談のうえで判断する必要があります。適切な症例では関節の痛みが改善する可能性があります。

関節鏡視下手術は、小さな切開から関節鏡というカメラを入れて、関節内の状態を確認しながら行う手術です。半月板損傷や靭帯損傷などの治療に用いられます。半月板損傷の場合、保存的治療が第一選択ですが、重度の外傷性損傷の場合は手術が必要となる可能性が高くなります。

変性による損傷の場合は、機械的症状(例えば、関節が引っかかる、音が鳴るなど)があっても手術は適応となりません。手術療法にはリスクも伴うため、医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解したうえで、手術を受けるかどうかを判断しましょう。

膝内側の痛みの放置で起こる3つのリスク

膝内側の痛みの放置で起こるリスクは、主に以下の3つです。

  • 慢性的な痛みの悪化
  • 歩行困難、日常生活への支障
  • 関節の変形進行

慢性的な痛みの悪化

初期の痛みは、安静や少し休むことで治まることも多いです。身体が自然治癒力を使って軽微な損傷を修復している状態です。しかし、適切なケアを怠り、膝への負担を継続すると、炎症が慢性化し、痛みが持続します。常に痛みと付き合っていく生活を強いられる可能性があります。

初期の軽い痛みは、身体からのSOSサインです。見逃さず、適切な対処をすることで、慢性的な痛みへの進行を食い止めることができます。

歩行困難、日常生活への支障

膝の内側の痛みは、歩行困難に直結する可能性があります。痛みをかばいながら歩くことで、無意識のうちに歩行姿勢が変わります。他の関節に負担がかかり、新たな痛みを引き起こすという悪循環に陥る可能性もあります。

日常生活では、歩く・立つ・座るといった動作は、私たちが意識せずに行っている基本的な動作です。膝の痛みによって動作が制限されると、日常生活の質は著しく低下します。

関節の変形進行

膝の内側の痛みを放置すると、関節の変形が進行するリスクがあります。変形が進むと、膝の痛みはさらに強くなり、最終的には人工関節置換術などの手術が必要となるケースもあります。

早期に適切な治療を受けることで、変形の進行を遅らせ、健康な膝を維持できる可能性が高まります。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

まとめ

痛みを感じたら我慢せず、安静とアイシングを試してみましょう。ストレッチや筋トレも効果的ですが、痛みが強い場合は無理は禁物です。専門家の指導を受けることをおすすめします。薬やサポーター、装具の使用も症状の緩和につながります。

症状が改善しない場合は、手術という選択肢もあります。自分の身体と相談しながら、適切な対策を選び、快適な生活を取り戻しましょう。

参考文献

仲里整形外科 079-562-5169 ホームページ